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2017年8月25日 (金)

「西之島は大陸の卵」に疑義あり その1

  科学番組は安山岩線に触れない

 西之島については既に触れたことがある(海洋底の縞模様 その12その27)。西之島の岩石は大陸性の安山岩である、ということでJAMSTECニュースに取り上げられたのは2014年6月である。海洋の火山島の岩石は玄武岩であるのが一般的なのに、西之島が例外なのでニュースになった訳である。安山岩というのは、大陸の花崗岩と海洋の玄武岩との中間的な岩石であるが、花崗岩―玄武岩の対比ではなく、安山岩―玄武岩という対比で使われることも多い。柱状節理だと、安山岩は玄武岩の部類に入るのだから紛らわしい。

 ところが「その12」の時にも書いたように、西之島は本来、海洋性の火山島であるとみなすべきではないのだ。太平洋には安山岩線という地質構造線がある。私は、マントル対流論の大御所アーサー・ホームズの本を読んで知ったのだが、ウェブで調べると、「1912年にニュージーランドの地質学者マーシャルP. Marshallによって提唱された」(日本大百科全書より)とある。もう随分昔に確立された地質学上の知識であるようだ。

 この安山岩線が囲む海域は、フィリピン海プレートに相当する。対流の湧き出し口である中央海嶺もなく、海洋でありながら安山岩線のくくりでは大陸であったり、フィリピン海プレートはプレートテクトニクス説にとっての鬼っ子的存在である。

 西之島は安山岩線の内側の海域にあるのだから、西之島に安山岩があって当然である。プレートテクトニクス説の教科書とも言うべきホームズの「一般地質学」に図入りで出ているのだから、地質学者ならば安山岩線のことを知らぬはずはない。

 その後「サイエンスZERO 西之島の噴火が大陸を生む!?」(アメリカでは2015年2月に放映)という番組を見た。そこでも、安山岩線については全く触れられなかった。番組のMC竹内薫氏は「99・9%は仮説」「なぜ『科学』はウソをつくのか」の著者でもある。科学に対する懐疑的な目を持っているのではと期待していたのだが、番組進行という立場からは逸脱も出来ないのだろう。

 その後同年8月には、「NHKスペシャル 新島誕生 西之島 ~大地創成の謎に迫る~」が放映された。更にその年の暮れ12月に「科学アドベンチャー 西之島へ ~エンジニア達(たち)の熱き挑戦~」という番組も放映された。どの番組も同工異曲、似たり寄ったりであった。プレートテクトニクス説全盛の世の中で、それに異を唱える番組が生まれるはずもなかった。

 どの番組にも必ず出演する科学者がいた。国立研究開発法人海洋研究開発機構JAMSTECの田村芳彦氏である。ウェブで調べると「海洋掘削科学研究開発センター 海洋・地球リソスフェア研究グループ グループリーダー」とある。どうやら、西之島研究の中心的人物のようである。意を決して、最後の番組から1か月ほど考えたり調べたりした後、彼にメールを送ってみることにした。

 紹介なしの未知の科学者に連絡を取っても、返事を貰えることは殆どない。しかし面倒だからとためらっている場合ではない。大陸の起源は地球外の天体にあったとする私の仮説からすれば、大陸が地球の内部から生まれたのだとする考え方はどのようなものであれ、受け入れる訳にはいかない。