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2017年5月25日 (木)

日本国内旅行 その15

  円錐形火山についての考察

 先日、自分で撮った日光での写真を見ていたら、右の写真があった。柱状節理層の先の方を見れば明らかなように、層下部から滝が出ている。それは、日光華厳の滝周辺の柱状節理はやはり溶岩流起源であった、ということを意味している。Cimg0673

 私自身、現場で当然そのことに気付いたはずである。柱状節理が火道起源だとすれば、それはかなり下方の、マグマ溜り辺りまで続いていなくてはならない。それなのに私は、書いてまとめるまでの数ヶ月の間に、その現場での思いをすっかり忘れてしまったようだ。しかし……と、火道起源説にこだわりたい気持ちが今でもなくはない。火山の溶岩流は、一度に全方向に流れ出るものではないからだ。下の観瀑台脇の柱状節理層と、少し先の滝とでは、時期も成因も違っている可能性がある。

 カムチャッカ半島にクリュチェフスカヤ山という火山がある。富士山より1000メートルも高く、ユーラシア大陸最高の活火山である。テレビでその山の映像(世界の名峰 グレートサミット 2012年) を、初めて見て衝撃を受けた。広重の浮世絵にある誇張された富士山のように、傾斜が急な円錐形をしている。しかもその頂上から、真っ赤な溶岩がほぼ直線状に流れ下っている。

 最近になって柱状節理の問題を考えているうちに、あのクリュチェフスカヤ山からの溶岩流を思い出した。溶岩流は局所的であり、山体全体をくまなく覆った訳ではないのだ。円錐形の山体を作ったのは、頂上から噴出した火山灰や噴石だったと思われる。だとすると山体の大部分は、石炭のボタ山のように、ふんわりと積み重なった組成をしていることだろう。とすれば、マグマ溜りから上昇してくる溶岩は、密度の粗い山腹の堆積に、なぜ新たな火道を作らないのだろう? 事実富士山は、宝永火口のような側火口を作った。クリュチェフスカヤ山において、今も尚、5000メートル近い山頂から溶岩を噴出させるものは何なのだろうか?

 おそらく、火口の溶岩が絶えず下から供給され続け、高温のまま保たれているのだろう。もしかすると、恒常的に溶岩湖状態になっているかも知れない。冷えて溶岩の供給が途絶えると、溶岩は固まって岩石になる。その時に柱状節理になり、栓になる。噴火口に水が溜まっているようだと、その傾向は更に強まる。錦江湾や芦ノ湖では、湾や湖の中央部から新たな噴火が起こる可能性は低く、その周辺部に新しい火道を作って外輪山となる。クリュチェフスカヤ山のような高い円錐形火山は、条件が色々揃っていなければ存在し得なかったことだろう。

 さて、話を華厳の滝脇の柱状節理に戻す。それが溶岩流起源であるのか、あるいは火道起源であるのか、今はまだ決定出来ないものの、研究が進むと将来明らかになる可能性がある。溶岩流起源だとすれば、溶岩流の痕跡が男体山の頂上方向へと続いているはずだし、火道起源ならば下方へと続いているのでなくてはならない。また、溶岩流が1方向だけにしかないとも考え難い。男体山の山麓に、溶岩流の厚い層があるはずである。やがて音波探査などの新技術により、地中の柱状節理を簡単に発見できる日が来れば、と願っている。

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コメント

こんにちは。
マグマが固まった溶岩ドームというと雲仙普賢岳を思い出します。少し前のニュースにありましたが、天然記念物に指定されている普賢岳溶岩ドームにペンキで落書きをされたが、現状維持できないので削り取ることができなくて困っているということでした。せっかく火山活動の痕跡を見学できる場所なのに残念です。普賢岳の火砕流は多くの犠牲者を出しました。ニュース映像で見てその速度に驚きました。

私が層雲峡を訪れたのは30年も前です。大雪山麓の白金温泉の町営保養所に宿泊したのですが、スタッフが「大雪山が活動を始めそうなので北海道大学の先生方がこちらに宿泊して調査をなさっています。火口に接近するのは危険なので、ラジコンヘリに機材を載せてデータをとってられます。冬場に噴火すると雪が溶けて危険なんです」と言われましたが、その冬に噴火しました。今ならドローンを飛ばすのでしょうね。

探査船「ちきゅう」はオーストラリアの東側に存在する「沈んだ第7大陸ジーランディア」の調査をするそうです。
スンダランドは残っている部分が多いですが、ジーランディアはニュージーランドが残っているだけのようです。


訂正です。第8大陸でした。化石燃料がたくさん埋蔵されている可能性があるのでオーストラリアが調査資金を出すそうです。

私こそ不躾なお願いで失礼しました。次の次あたりに、柱状節理の出来方をもう一度まとめ直します。その時に車石にも触れたいので、もしもお写真をお待ちならば使わせて頂きたいと考えました。
層雲峡は溶結凝灰岩で出来ているとあり、柱状節理のもう一つの出来方なので興味があります。
ジーランディアについては初耳でした。情報をありがとうございます。掘削して、果して花崗岩(安山岩)が出てくるか、興味しんしんです。

管理人様 うちにあるのは30年前に夫がコダクロームで撮影したもので、お貸しできないのが残念です。

火山学者の早川由紀夫先生をご存じでしょうか。早川先生の「フィールド火山学」というサイトに車石の前に人が立っている写真があります。車石だけを撮影したものや、離れた場所から人物の背景として撮影されているものはネット上に多くありますが、私がチェックした中では早川先生のお写真が一番近くに人がいるので規模がわかりやすいと思いました。写真の下に車石の形成過程の説明もあります。

デビルスタワーの柱状節理の大きさも人間が写っていると規模がよくわかります。早川先生の写真も海中から吹き出したマグマの塊の大きさがよくわかります。早川先生の「風景に書き込まれた歴史を読み解く」というサイトも火山や地質が好きな私には勉強になる記事が満載です。お忙しいでしょうが、一度ご覧になってください。

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