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2016年12月

2016年12月26日 (月)

日本国内旅行 その10

  「熊本地震は震度7」への疑問(後編)

 熊本に震度7の地震発生というニュースを私が最初に聞いたのは、早朝5時過ぎのことだったと思う。その後も一日中、出来るだけニュースを聞くようにした。前回も書いたように、マグニチュードの割に高い震度が不思議に思えたからである。

 そして翌朝、たまたまテレビをつけたところ、新しい地震が発生したというニュースを伝えていた。臨時ニュースというような緊迫感のこもったものではなく、当直のアナウンサーが入ってきた原稿を読み上げた、という感じであった。日本時間16日午前1時25分に発生とあるので、サンフランシスコ近郊に住む私が聞いたのは、午前9時半から10時までのいつかであったはずである。

 その後のニュースで、被災地の映像が次第に増えてきた。最初のうちはまだ暗く、火事の映像などが印象的であった。やがて夜明けと共に、尋常ではない被害の様相が明らかになってきた。それなのに、震度は6強だった。16日の新しい地震はM7.3、14日のM6.5に比べて明らかにマグニチュードが大きいのに、何故震度が前より小さいのだろう、と不思議に思った。さすがにそれは、後に7に改訂されはしたが、直るのに数日かかった。

 気象庁ホームページには「かつて、震度は体感および周囲の状況から推定していましたが、平成8年(1996年)4月以降は、計測震度計により自動的に観測し速報しています」とある。本来、体感や推定よりははるかに客観的なはずの計測震度計による自動観測システムがなぜ機能しなかったのか? どうやら、地震により計測器が壊れてしまったかららしい。体感・推定ではあり得ない間違いが、なまじシステムを変更した後では容易に正せなくなる。前回取り上げたことにも関連するが、倒壊率を取るか、計器の数値を取るか、何とも悩ましい。

 計器による数値はあくまでも暫定的なのだということにし、正式な震度は、倒壊率などを考慮して後日決定する、ということにしたらいいかも知れない。それでも倒壊率は耐震構造になっているかどうかで違ってくるわけだし、難しい。

 他にも、局地的な震度が地震全体の指標として適切なのか?の問題もある。栗原市の地盤がトランポリン効果を生む特殊なものであるとは、前回も(そして、「地震は水素爆発で起こる その11」においても)書いた通りである。熊本の益城町にも、何らかの特殊性が存在する可能性がある。前回も触れたように、熊本では阿蘇のカルデラに溜まった水が地下水脈を作っている。地下のその特殊な状況が、震度を増幅する何かの作用をするのかも知れない。

 震度だけのことならば、1階級違っていたとしても、さほどに大きな問題ではない。ところがこの地震は、今迄の地震にはないいくつかの謎を持っていた。東北地方太平洋沖地震といい、鹿児島県北西部地震といい、決定的な答えを出せない特殊な地震が多い。熊本地震はそれほどに特殊ではないものの、考えていくにつれだんだん難しくなっていく。

 それなのに、既存の断層帯に起こった地震であることから、この地震を不思議と思う研究者は少ないようだ。プレートテクトニクス説、地震断層説で一応の説明がついてしまうことが、かえって研究者を謎から遠ざけているのである。

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