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2016年6月25日 (土)

日本国内旅行 その7

  F字型断層を読み解く

 金森博雄教授からのメールに添付されていた図とは、右のものである。本来ならば前回、もう一つの図と一緒に掲載すべきであった。それをせず、分離して今回に回したのには理由がある。1997年鹿児島県北西部地震の余震域は〒記号でもF字型でもなく、正確には一の字と逆さL字との複合型であった。実際にも一の字と逆L字とは2つの別の地震によるものであり、前者は3月に、後者は5月に起こっている。右の図(出典:堀川春央氏、米国地震学会会報 2001年2月)はその2つの地震を別々に示してもいるので、その問題点が理解し易い。この地震の余震域については、便宜上F字型と呼ぶことにする。Photo

 前回も見たようにこの地震は、研究者たちがこぞって首をひねる謎の地震であった。3月の地震が地下に震源断層を形成したとすると、そのすぐ脇に、平行な震源断層を新たに作ることは不可能に近い。新たな二番目の断層に加わる力は、全て最初の断層に吸収されてしまうはずなのである。

 いったい震源断層の辺りでどういうことが起こっているのだろうか? 既に書いたように(地震は雷のようなもの その4)、私の最初のイメージは竹内均氏の本「地震の科学」から得たものである。1960年チリ地震についてはついこの前もその一部を再掲したばかり(金森博雄教授と東京で8時間 その8)なので、それを更に短く要約する。「余震域北端の震源から出発した、750メートルもの割れ目が南へ向かって走った」というのだが、それだと断層というよりは、亀裂の方に力点が置かれているように思われる。北海道などの寒冷地では、樹木が凍結して、縦に裂け目が入る「凍裂」という現象が起きるらしい。まるでそれと同じように、地震時にも岩盤に亀裂が入るかのようである。

 しかし一般的な意味の震源断層は、そのような亀裂ではなく、既に存在している断層がずれ動くと考えられている。似たような岩盤の破壊現象ではあるのだが、イメージ的には大きく違う。既存の断層がずれ動く場合は、面と面とのこすり合いである。とすれば地震時に、複数個の震源が同時にあってもよいことになる。

 ところが現実には、複数個の震源を同じ余震域内に同時に持つ地震は、仮にあるとしてもまれであるだろう。また、鹿児島県北西部地震の場合の、平行な余震域の存在を解釈することも出来ない。そのようなことから考えると、地表にある活断層のようなものが地下にもあり、それが動いて地震を発生させる、という現在の定説はかなり疑わしい。

 凍裂のような亀裂が岩盤内に発生したと考えると、鹿児島県北西部地震の3月の場合(右上の右a)の図)、5月の場合(右上の右b)の図)、共に一応の解釈は可能である。前者の場合、破壊はa)図の中央(黒い星印)で始まり、亀裂が両側へと直線状に走った。後者の場合、破壊はb)図のほぼ角(黒い星印)で始まり、直角2方向へ直線状に別かれて走った。

 しかし問題はそれで解決という訳ではない。どのような力がどのように働けばそのような亀裂が生じるのか? 凍裂や竹を割るみたいな亀裂ならば、余震は起こり得ない。地震には、東北地方太平洋沖地震のような広域連続多発型の地震もある。単純な亀裂仮説で、全ての地震を統一的に説明することは出来ない。鹿児島県北西部地震のようなF字型断層を知り、謎は深まるばかりである。


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