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2016年5月

2016年5月25日 (水)

日本国内旅行 その6

  訳の分からない震源断層

 福知山から新大阪経由で鹿児島中央駅に着いたのは午後2時過ぎ、駅前のホテルにチェックインして荷物を部屋に置き、新幹線で一駅戻り、川内駅に降り立った。本当は鹿児島県北西部地震の震源地を訪れたいと思っていた。

 昨年7月15日に金森博雄教授より頂いたメールに、興味深い震源図が添付されていた。郷村断層はT字型に並んだ2つの断層が同時に動いた謎の共役断層であった。ところが教授からの震源図を見ると、謎の程度が郷村断層どころではない。〒記号型というかF字型というか、余震域が全く解釈不能な形をしている。その奇妙な震源図の元となった地震こそが、鹿児島県北西部地震であった。

 鹿児島県北西部地震とは、1997年3月26日に起きたM6.6の地震、同年5月13日のM6.4の地震のどちらか、もしくはそれら両方の地震のことである。後者の5月の地震は特に不思議な地震であった。M6.6というこの地方としてはかなりの規模の前者の3月の地震により、震源断層に溜まっている応力は解消されたはずである。それにもかかわらず、僅か3kmほど南方に平行な別の震源断層が形成された。これら2つの地震に対応する活断層は見つかっていない。

 「震源断層」と「活断層」。ちょっと紛らわしいので、私が理解する限りにおける違いを書いておく。「活断層」は、地上に現われる通常の地震断層のうち今も活動可能と見なされているものである。これは説明の要もないだろう。分かり難いのは「震源断層」である。地上の断層のようなものが地下の余震域にもあるはずと考えられているのだが、実際に検証されたわけではない。鹿児島県北西部地震のような奇妙な地震が起こってみると、「震源断層」という仮定自体が疑わしくなる。Photo


 この地震の特徴を最もよく示す図はないだろうか?と下書きを書いていた頃から、ネット上で画像検索をし続けてきた。なかなかイメージにぴったりの画像は見つからず、それならば借用した図に私が加筆しよう、という心づもりにしていたのだが、今日になってもう一度画像検索し直したところ、右のような図が見つかった。何と、前回「柱状節理と湖水の関係」の文章を引用した鹿児島大学の井村隆介氏のツイート(28Apr2016)にアップされている。書くのが極度に遅い私からすれば、ツイートは別世界の話である。しかし研究者仲間なのだろう、そこでのやり取りは非常に興味深い。

〔鹿児島県北西部地震はこの震源分布(後藤ほか、1998)にびっくりポンだったのだ。わけわからん!〕

〔でしょ。リアルタイムで見ていて、どう動いたのだろうかと謎でした。まあ、今でも謎。〕

〔私も、びっくりしました。震源断層で解放される応力が半分くらいとか、案外狭い範囲しか応力開放していないとか考えたのですが、うまく説明できません。意外と注目されていないのですよね。〕

〔同感。横に伸びた右端が薩摩町。左端に川内原発がある、さつま川内市。自然地震でこんな事があり得るのか〕

 科学は、謎があるからこそ挑戦すべきもののはずである。研究者たちはこれからも、この不思議な地震のことを注目し続けてほしい、と願う。

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