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2015年10月20日 (火)

金森博雄教授と東京で8時間 その6

  中央海嶺から柱状節理が出る

 前回書いたように、柱状節理のでき方についての私の考え方は、ネットでいろいろに調べているうちに、かなりはっきりとした形にまとまった。垂直な柱状節理の大部分は、溶岩湖あるいは火道に沿って火山内部で作られたと見る。火山内部でという点こそ違え、でき方そのものについては定説と矛盾しない。また、水で溶いたスターチ(でんぷん、片栗粉)を乾燥させて作る柱状節理実験とも合う。

 問題は溶岩流の場合である。「溶岩の動きの化石」という私の考え方は、玄武洞上部の長い水平層をうまく説明するとはいうものの、「冷却の程度が進むにつれ亀裂が入る」という定説と合わない。初めのうちこそ二者択一だと思っていたが、そのどちらもあり得るのではないか、と考えを変えた。そのきっかけとなったのは、水平な貫入岩の存在である。

 越前松島という柱状節理の景勝地が福井にある。東尋坊のすぐ近くなので、もしも以前から知っていたなら、東尋坊を訪れた2010年にそこも寄っていたはずである。東尋坊に比べると圧倒的に知名度が低い。恐らくは、規模が小さいのだろう。越前松島で検索しても、同じ敷地内にある水族館の方が多く出る。しかし、デビルズ・ポストパイルを見て以来柱状節理に興味のある私からすれば、そこは柱状節理の博物館である。次の訪日の際には是非訪れてみたい。

 何回もの検索の結果「越前松島」を探し当てた後、「越前松島玄武岩質安山岩の産状」(吉澤康暢著 2012年)という素晴らしい論文を発見した。その中に36枚もの写真が載っている。柱状節理と言っても様々な形態のものがあるので驚いた。通常の垂直型の他に斜めのものあり、ドーム型のものあり、階段状のものあり、である。

 ドーム型の成因は、「溶岩が動く方向に亀裂する」という私の考え方でも説明できる。しかし階段状のものを、私の考え方で説明することはできない。それは岩体が一旦冷え固まった後、縦にできた亀裂に溶岩が貫入したことを意味している。垂直の柱状節理に対し、割った薪を積み上げたかのような短い水平の柱状節理が直角に接合している。それは溶岩の動きとは全くに関係がない。そうなると、正統的な解釈の方が正しいのかも知れない。前記の論文から以下に引用する。

[柱状節理は、流出した溶岩が接触する基盤や空気により冷却固化する際、体積が収縮するために形成される。柱状摂理の柱の伸びの方向は、重力の方向(上下)とは無関係で、マグマが冷えるときの等温度面に対して垂直にできると考えられている。つまり、マグマが水平に流れた場合、柱状節理の伸びの方向は地面にほぼ垂直になると考えられる。柱状節理が階段のように横に伸びている場合は岩脈状の溶岩が冷却したものと考えられ、柱状節理を挟む2つの縦の等温度面を考えることができる。]

 岩脈状の溶岩が冷却して作る階段のような水平柱状節理の場合、貫入する溶岩の動きは関係ない。しかしもしも割れ目が広い場合、水平に薪を積み上げたような階段はどうなってしまうだろう?という疑問が生じる。狭い場合には柱状節理を挟む両側の岩石からの冷却だけを考慮すればよいが、広い場合には空気からの冷却も考慮しなければならなくなる。すると、両側の岩石から冷却されて水平に延びていた柱が、途中から突然垂直に変わるのでなくてはならない。

 ところが玄武洞上部層の水平柱状節理は結構長く、それら全体が貫入岩で両側の岩石により冷却されたとするのは無理があるように思う。また、全ての柱状節理が溶岩流内で出来たとするには、木の株型の場合を説明できないなど、既に述べたような多くの難点があり、受け入れにくい。そのような考察から私は、溶岩流内で柱状節理が出来る場合、条件の違いにより、垂直にもなり、水平にもなるのだ、と考えるようになった。

 溶岩流内で垂直の柱状節理が出来る条件とは、溶岩流にほとんど動きがなく、層も厚い場合である。溶岩流に動きのある場合に柱状節理は水平になり、玄武洞上部の水平層のような場合を説明する。

 私の最大の関心事はもちろん海洋底である。中央海嶺から湧き出すのが玄武岩であるとすれば、そこに柱状節理が生み出され、世界の海洋底にプレートとして移動していくはずである。そうして出来る柱状節理が垂直型だとすれば、海洋底は蜂の巣模様をしているし、私の考え方からすれば、水平型でなければならない。さて、どちらが正しいだろうか?

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