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2015年7月 1日 (水)

噴火は予知できていたはず その14

   噴火予知失敗に失望

 インターネットを見る限り、今回の口永良部島噴火予知失敗に対する批判は目立たない。犠牲者が出なかったこともあるのだろう、専門家が表立ってやり玉に挙げられることはない。しかし私からすれば既に書いた(http://tairiku-q.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-6469.html)ように、御嶽山、口永良部島と立て続いた噴火予知失敗によって、専門家への信頼は大きく損なわれたはずである。

 ミュオンの透視画像については既に書いた(その4)が、噴火予知手段としては他に、人工地震探査法というのもある。それについては前に、「地震と火山の100不思議」(神沼克伊他著、東京書籍) という本から引用した(地殻底のマグマ層 その26) 。それによれば、火山噴火予知のために1994年以来、毎年1火山を対象として地震探査をしているそうである。

 この場合の人工地震探査が、サイエンスZERO「噴火の前兆は捉えられるか」で扱われたアクロスという連続的な地震探査法(噴火は予知できていたはず その5) と同じものであるのかどうかは分からない。ともかく、火山体の地下構造を明らかにし、マグマ溜まりを検出しようとする様々な技術が既に存在している。それなのに、警戒レベル3の口永良部島で、それらの技術が全く生かされなかったのは何故なのか?

 東日本大震災の津波時にも、私は似たような思いをした(東北地方太平洋沖地震 その12)。三陸沖に光ケーブル式海底地震・津波観測システムが、あの震災の16年も前から既に設置されていたというのに、肝心な時に役立ったようではない。

 本やテレビを見れば、噴火予知のための技術は既に確立したかの印象を受ける。次の噴火こそは、実際の噴火前にそれなりの警告が発せられるに違いない。そう期待しながらニュースを見守り続けてきたが、期待は常に裏切られてきた。有珠山の噴火予知成功にしたところで、火山体内を透視したり、人工地震探査により、マグマの位置を特定した結果によるものではなさそうである。もしも私のその推測が正しければ、主噴火前の火山活動が分かり易かっただけで、かなり偶然的な要素の方が強く、技術によって得られた成功だった、とは言えないことになる。

 プレート・テクトニクス説の出現以来、地震や火山の仕組みが図入りで説明されてきた。それらを見る一般人は、専門家は地震や火山についてをよく理解しているのだと思い、信頼を寄せる。ところが実際に地震や噴火が起こってみると、それらの多くは不思議と想定外の起こり方をする。すると専門家は、「学問の限界だから」とか「それぞれの火山には個性があるから」と説明する。それでも一般人の専門家に対する信頼は変らない。「ネイチャー」誌の記者が驚くのも無理はない。

 口永良部島噴火の翌日(5月30日)、小笠原諸島西方沖地震が起きた。この地震は、巨大地震の震源として世界最深だったという特徴のほか、遠い関東地方を大きく揺らし、ビル高層階の住民に恐怖を与えたということでも注目された。関東地方のエレベーター約1万9千台が緊急停止したともいう。震源から遠く離れた所の方がかえって揺れが大きくなるこのような現象のことを異常震域というらしい。

 このようにして、謎に満ちた地震現象だったはずなのに、ニュースの後で解説した専門家は、プレート・テクトニクス理論を用いて簡単明瞭に説明してしまった。もう充分分かっています、というそういう説明の仕方で本当にいいの?という思いだけが残った。技術はあり、図入りで説明出来るにもかかわらず予知できない火山噴火。そしてその翌日、図入りで説明出来るはするが大きな謎を秘めている深発地震。火山と地震、現われ方は大きく違うのに、共通の問題があるように思われてならない。

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