« 噴火は予知できていたはず その9 | トップページ | 噴火は予知できていたはず その11 »

2015年6月 4日 (木)

噴火は予知できていたはず その10

  前兆が全くなかった噴火

 5月28日午後7時(日本時間、29日朝11時)、ドラマが始まるはずと思いながらテレビをつけたところ、ニュースだった。口永良部島で噴火したためドラマは差し替えられたのだ。

 噴火したのはその1時間前、島民の大部分は既に避難所に退避していた。手持ちの地図やネットを慌てて調べ、口永良部島がそもそも何処にあるのか、どんな島なのか、のイメージを持った。

 避難所のある番屋ヶ峰は最初に出来た古い火山で、現在噴火中の新岳は、その隣に付け加えられた新しい火山である。西之島の新島が旧島と合体したのと同じ出来方をしたのだろう。口永良部島に旧島部分があったことで、無事に避難することができたことになる。もしも新島部分だけの円錐状の火山島だったり、去年8月の噴火がなかったとしたら、御嶽山の二の舞になった可能性もある。

 噴火が直前になっても予知されてなかったということに驚いた。ネットで調べているうちに、次のサイトを見つけた。以下は東洋経済オンラインからの引用である。

[一方で、今回の噴火直前の火山性地震は29日午前9時台にわずか1回。10時台に77回と急増しているが、この間の9時59分に噴火が起きている。気象庁によれば「10分前にも明らかな変化は観測されなかった」という。]

 つまり、噴火前にはたった1回しか地震がなかったということなのだろう。もう一つ、別のサイト(毎日新聞)からの引用を以下に。

[気象庁によると、噴火の10~15分前に地震計や傾斜計、GPSのデータに変化はなく、昨年9月の御嶽山(長野・岐阜県境)噴火では11分前に観測された火山性微動もなかった。機動観測班も異常は感じなかったという。
実は火口に近い場所にあった地震計3台は、昨年の噴火で壊れ、入山規制のため修理できなかった。この影響について、小泉火山対策官は「壊れていなければ何らかの前兆をとらえた可能性は否定できないが、何とも言えない」と話す。]

 気象庁のサイトで確認してみると、観測点配置図があり、火口近くの地震計などは全滅していた。図の上で数えてみると、地震計は3台どころか7台が障害を受けていた。もしもそれらの幾つかが活躍していたら、微細な前兆を記録できていたかも知れない。それによって、噴火を予知することまではできないとしても、地震や火山噴火の本質に迫る何かの情報を得られた可能性もある。残念なことである。

 この引用部分でも御嶽山について触れている。御嶽山噴火の方がより大規模だったと主張するウェブも見かけたが、私はそうは思わない。噴煙の柱の太さ、そしてそれが9000メートル(エベレストと同じ)もの高さに立ち登ったことは、テレビ画面で見る限り、御嶽山の場合よりも迫力があった。火災流の規模も今回は、全方向にかなり多量に流れ出し、大きかった。

 それなのに、御嶽山の水蒸気噴火にすらあった前兆が、今回全くなかったというのは不思議である。火口の天井を突き破り巨大な噴煙の柱が生じたほどの強烈な圧力を蓄えていた火山体内のマグマが、何の兆候も現さなかったとは考え難い。今後の研究により、見落とされていた兆候などが明らかになる可能性もある。

 しかし何の前兆も無しにいきなり噴火したのが本当だとすると、次もまた、いつ噴火するかは分からない。警戒レベルが下がっても、おいそれとは戻れない。それは、人口の少ない南の小島だけの問題ではない。全国どの活火山においても同じことが言える。御嶽山、口永良部島と続いた今、専門家との信頼関係において新時代に入った、ということなのかも知れない。

« 噴火は予知できていたはず その9 | トップページ | 噴火は予知できていたはず その11 »

マグマ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1397932/60252506

この記事へのトラックバック一覧です: 噴火は予知できていたはず その10 :

« 噴火は予知できていたはず その9 | トップページ | 噴火は予知できていたはず その11 »