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2015年4月 7日 (火)

御嶽山の噴火は予知できていたはず その6

   火道まで穴を掘る

 前回書いた「火山の体温を測る」が可能であるためには、マグマ溜まり近くにまで達する穴を掘れるか否かが問題となる。運の良いことに、それに関連した動画を偶然に発見した。[日本地球惑星科学連合2014年大会トップセミナー:中田節也先生「日本における最近の火山噴火(レビュー):これまでとこれから」]という何の変哲もないタイトルだが、中田氏の名前に記憶があった。「火山学者に聞いてみよう」というサイトで知ったのだ。多分西之島か御嶽山を調べている最中に辿り着いたのだと思う。それで中田氏の名前にひかれ、その20分ほどの講演の動画を開く気になった。

 講演の内容にびっくりした。あの雲仙普賢岳で既に掘削が行われていたことにも、その掘削孔が直線ではなく、弓なり型だったことにも驚いた。そしてそれら以上の驚きは、火道の形である。先ず、東京大学地震研究所のサイトから以下に引用する。

[火 道掘削は2003年1月末から開始しました.普賢岳の北斜面中腹から,最初は垂直に掘り始め,途中から角度を増して,水平から15°の傾斜で堀り進みまし た.火山の浅部での坑の増角作業には大変難航しましたが,2004年6月には,無事,普賢岳直下約1.3kmに達し,平成新山の火道を捉え,火道周辺の地 質物理情報を得ることができました.火道は東西に延びた板状(厚さ数mから30m)のもので,新旧の火道が幅数百mにわたって束になっている場所(火道 域)でした. ]

 それ迄の私が持つ火山のイメージは、以下に書く疑問を別とすれば、火山や地震の本に出ている図からそう遠く離れたものではなかった。火山の根っこの辺りにマグマ溜まりがあり、そこから山頂へと真っ直ぐのパイプのような火道が通る。

 こうした教科書的なイメージに対し、いくつかの疑問を以前から持っていた。マグマ溜まりへのマグマの供給源は、それより更に下のマントルにあるとされているが、それ自体が疑問である。しかしそれについてここでは議論せず、火道の形についての疑問だけに絞る。

 火山麓には溶岩トンネルがよくある。それは溶岩流が麓を流れ下り、表面が固化した後、中の未凝固の溶岩だけが更に流れ続けたために出来るのだと言われる。そのことからすれば、山頂付近の火道が固化して栓が出来た後、中の未凝固マグマが落ち、円柱状の空洞が火道に出来るというのは充分にあり得る。すると、空洞の火道の中を、マグマは寒暖計のように上下しているのだろうか?

 雲仙の掘削を知る前の私は火道についてそういうイ メージを持っていたのだが、実際の火道は円柱状ではなく板状だという。しかもその板状は一枚だけではなく、噴火の度に新たな板が以前の板に沿って出来る、言わば合板状になっているのだそうだ。それは雲仙の火道に特有なことなのだろうか? それとも、全ての火山が皆同じなのだろうか?

 火道内のマグマが合板状になっていることに対しては、噴火によって堆積した山体と火道内で固化した岩石との密度の差により、その間にマグマの通り易い隙間が出来てい るのだろう、と解釈できる。それに反してどうにも解釈できないことがある。マグマは何故、頂上へと直上するのではなく、斜めに移動するのであろうか?

 以前にも書いたように(地殻底のマグマ層  その13)、雲仙においては、マグマが橘湾から雲仙普賢岳頂上へ向けて、約一年かけて移動した。御嶽山においても、マグマ溜まりがあったと考えられるのは南東麓であって頂上直下ではない。何故そのままの場所で山腹噴火しなかったのか? 何故頂上へと斜めに移動したのか?

 噴火を予知するためには、地中特に山体内において、マグマが何故どのように移動するか、を知ることが一番大切なのではないかと思う。

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