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2015年3月 3日 (火)

御嶽山の噴火は予知できていたはず その1

  水蒸気噴火の予知は不可能か

 御嶽山噴火の第一報を知ったのは、2014年9月27日の朝のことだった。その日は日曜日であり、通常のニュースは昨夜から短いものしかなかった。噴火から既に半日、かなりの映像が集まっていた。頂上から噴煙がもくもくと出始めている映像もあった。それを撮った人はどうなったのだろう、心配になった。

 何故予知できなかったんだ、とも思った。しかし、水蒸気噴火だと聞いて納得した。マグマの上昇ならば山体も膨らむし、地震も多くなる。それに対し水蒸気の上昇は、粘度が低い分、山体膨張などの予兆が 小さい。イエローストーン公園のガイザー(間欠泉)を大規模にしたようなもので、地下のマグマに接して水蒸気になった水は、わずかな隙間でもあれば噴出する。しばらく前に多量の雨が降り、例年になく地下水が多かったのだろう。ダムなどによる誘発地震は、地下だけで終わった水蒸気噴火なのだ、と考えたりもした。

 最近、共役地震についての図を探して、手持ちの地震関連の本を調べた。何処かで見た記憶はあるのだが、思い出せない。調べているうちに、御嶽山についてかなり詳しく書いてある本を偶然に見つけた。「大地震は近づいているか」(溝上恵著、筑摩書房、1992年)という本である。

 それによれば1979年に、有史以来初めての大爆発を起こしている。しかもその後、M6・8の中規模地震や群発地震が起こり、マグマ溜まりらしいものも観測されているのである。となれば、もしも細心の警戒心さえあったならば、被害を軽減する方策が何か見つけられたのではないだろうか。

 先ずはネットで調べてみることにした。多くのサイトにおいて、専門家たちの意見は一致している。例えばNHKの時論公論には次のようにある。

[ところが、今回は、山が膨らむなどの地殻変動は観測されませんでした。マグマがそれほど上昇しないまま起きる水蒸気噴火は、地殻変動や火山性微動が起きないこともあり、兆候を確実にとらえられるほど研究が進んでいない、予知は難しいといいます。直前まで地殻変動や火山性微動がなくても、もう一つの判断材料である火山性地震は1か月前から起きていました。予知に生かすことはできなかったのでしょうか。

今月10日には52回、11日は85回観測しました。ただ、その後は減って、噴火の前の日は6回、当日も直前の11時40分までは6回しか起きていませんでした。しかも、火山性微動が始まったのは11時41分で、噴火のわずか11分前でした。ただ、この11日の85回というのは、前回噴火した7年前以来の多さでした。気象庁や専門家は、地殻変動がなかったので、噴火はすぐには起きないと判断しましたが、この85回というのは、結果的には噴火の兆候と呼べる数少ない変化でした。

地震の増加を噴火の兆候と判断しなかった理由は、過去の噴火では、よりわかりやすい兆候が見られていたからです。御嶽山はこの35年間に4回、水蒸気噴火が起きています。昭和54年10月に起きた中規模の噴火の際は、まだ観測態勢が整っていませんでした。平成3年のごく小規模な噴火では、噴火の2週間以上前から、地震や微動がありました。平成19年のごく小規模な噴火でも、地震や微動が2か月以上前から増えていたほか、地殻変動も観測されていました。

つまり、過去2回は、今回よりさらに規模が小さかったにもかかわらず、だいぶ前から、微動や地殻変動といった兆候があったのです。今回は、地震はあったものの、地殻変動はなく、微動も直前でした。

これまでのデータが裏目に出た形になりました。]

 やっぱり水蒸気噴火の予知は不可能かな。私は再び、溝上氏の本を読む前の考えに戻った。

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