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2013年10月

2013年10月 6日 (日)

遠隔誘発地震の謎 その3

  金森教授からのメールで知る新しい誘発地震

 8月7日、以下のようなメールを金森博雄先生、上田誠也先生宛てに書いて出した。

[金森先生、上田先生
 昨日、ブログを書く必要性から古い本を探しに、ローカルの図書館を3箇所ほど回ってきました。その際に、サイエンス誌(7月12日号)の誘発地震についての記事も探してみました。図書館に出かける前にネットで調べているうちに、関連する記事が同誌に出ていると知ったのです。1ヶ月も経たない最近のことなので、その偶然を嬉しく思いました。同誌を実際に手にしてみたら、関連記事は1箇所だけではなく、3箇所もあり、それもまた嬉しかったです。

 図書館ではざっと目を通しただけですが、大地震が遠方のfracking site(流体注入によるオイルシェールガス採掘現場)に誘発地震を起こすなどともあり、すっかり興奮しました。Dynamic Triggaring(遠隔誘発地震)は誘発地震ではあっても人為的ではありませんが、それはそれで、そのような現象があるということが不思議です。

 私の最大の関心事は、誘発地震の起こる地域に、歪の蓄積が予め存在しているか否かです。また、現在は全てを断層があったせいにしていますが、地上からでは証明できない地中の断層を仮定するのもおかしな話に思えます。やがて、地殻底にマグマ層があると仮定した方がすっきりと説明がつく、などと考えられる日が来るかもしれません。

 そしてまた、今までの地震学とは全く違う、新しい「実験地震学」とでも呼ぶべき分野が開けつつあるかもしれない、とも考えられます。私のブログでも、人為的誘発地震の研究をやってほしいと何度か書いてきましたが、これこそはまさに私の願っていた研究分野です。

 先生はこの問題をどのように考えられるでしょうか? また、私が読むべき新しい情報などありましたらお教え下さい。]

 この私からのメールに対し、金森博雄先生からお返事をいただいた。いつも通り、先生からのお返事は英文なので、私が以下に訳す。

[篠塚さん、 メールをありがとう。

トリガリング(遠隔誘発地震)は興味深い現象で、最近では多くの地震学者の注目を集めています。ある意味、全ての地震は他の何かによって引き起こされる、と考えることもできますが、何が何を引き起こしているのか、正確に言うことはできません。だからこそ、厳密な意味では地震は予知できないのです。(添付のプリントの)1479から1482頁までを読まれると、我々が何に興味をもっているのか、アイデアが得られるでしょう。

トリガリングは火山地帯においてもっとも顕著に見られます。しかしその多くは非常に浅い所に起こっているので、マグマそのものに関係した何かとするよりは、下のマグマで熱せられた水に関係していると考えるべきです。

次のメールの添付で、ヒル博士の非常に素晴らしい論文を送ります。硫黄島についての興味深い記述が出ています。]

 先生からの、暖かい誠意あふれる上掲のメールをいただいて、「こんなにも生き生きと研究する人がいる」という石田瑞穂氏の言葉(東大紛争のおかげで その3)や、他の教え子たちの尊敬の意味を理解できた気がした。先生は地震の謎そのものに夢中なのだ、と思った。

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