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2013年9月 7日 (土)

地震は水素爆発で起こる その11

  地震のトランポリン効果

 2008年岩手・宮城内陸地震は非常に奇妙な地震であった。それを、地震学会広報紙「なゐふる」2009年7月号の記事から引用する。

[地震動は通常、水平動成分が上下動成分に比べて2倍程度大きいことから、地震ハザード評価においては多くの場合、水平動成分のみが考慮されます。しかし、今回観測された地震動は、逆に上下動成分が2倍以上大きく、その絶対値も3866galと非常に大きなものでした。また、上向きの加速度が下向きに比べ2.5倍以上大きいという非対称性を有しており、さらに下向き加速度の周期が上向きに比べ大きいことや、下向き加速度は概ね1g(重力加速度)で頭打ちするという、これまでに知られていない性質があることが分かりました。この様な非対称な地震動を生むメカニズムは従来の理論では説明できません。

トランポリンで跳ね上がるときには1gを越える大きな加速度を受けますが、落ちるときには重力加速度である1gの加速度しか受けません。我々は、表層地盤がこれと同じように振る舞う『トランポリンモデル』を提唱し、この上下動成分に見られる非対称性を説明することに成功しました。] 

 通常は横揺れの方が強いはずの地震の中で、この岩手・宮城内陸地震だけは特別、縦揺れの方が強かったというわけである。プレート説によるもともとの地震発生説に従えば、横揺れが強いのは当たり前だが、縦揺れに対しては説明が困難である。

 これは絶対、下から突き上げる動きがあったのだ。山本寛氏らが主張する爆発と見るべきか、私の仮定する「横向きの噴火」がこの場合縦向きになったとすべきかは別として、ともかくも、プレート説では説明のつかない地震が起こったのだ、と私は考えた。

 ところがその後になり、防災科学技術研究所のウェブサイトにあるもう一つの記事を読んでみて驚いた。それは「防災科学技術研究所 主要災害調査 第43号」(2010年3月)となっていて、書いたのは地震研究部主任研究員の青井真氏および他4名の研究者である。「なゐふる」の記事の著者も同じ青井氏であるのだが、その記事においてはスペースの関係もあり、以下の問題点は省略されたものと見られる。

[IWTH25観測点の地中強震計は、岩盤に達する深さ260mの観測井戸の底に設置されているが、地中記録には上で述べたような非対称性は見られない(図4b)。このことから、上下対称な地震動が表層地盤に入射し、地表に達するまでの伝播経路で何らかの作用を受けることで非対称性が生まれたと考えられる。]

 (図4b)の図は転載しないが、その波形を見ると確かに、地上のものと地下のものでは明らかに違っている。地中においては上下、水平共に似たような波形をしている。ということは、地下で爆発があったり、上向きの噴火があったり、ということではなく、その辺りの地層が特殊だった、というだけのことを意味するようである。残念。

 では、いったい何がその辺りの地層にそのような特殊性をもたらしたのであろうか? 構造的な違いだけではなく、歴史的な成因の意味からも地質学者らに調べてみてほしいものである。なにしろ、ギネスブックに載るほどの加速度をもたらした地帯であるからには、綿密な調査の必要性があるはずである。それにしても、偶然に地下の観測点があったからこそ知り得た事実である。

 今でも「トランポリン効果」のような新発見の現象があるとしたら、地上で観測される地震記録だけでは、地下の本当の姿は分からない、ということになる。私は、島村英紀氏の「地震はどこに起こるのか」(講談社ブルーバックス 1993年)の中の話を思い出す。彼らが開発した海底地震計によって観測したところ、それまでの観測記録が誤りだったことが発見された、という。そのことからしても、地中のことは地中でじかに観測されなければならない、と言える。 

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