« 地震は水素爆発で起こる その6 | トップページ | 地震は水素爆発で起こる その8 »

2013年8月 8日 (木)

地震は水素爆発で起こる その7

  「地震学のウソ」という本

 2010年東京へ行ったとき、本屋の地球関連の棚に、「地震学のウソ」(工学社 2009年5月)という刺激的なタイトルの本を見つけた。著者の山本寛氏はヤマハ発動機のエンジニアだったらしいのだが、地震学に特に詳しい人には思えない。そういう人のそういうタイトルの本が、地震学の他の本と肩を並べて置かれているということだけでも驚いた。

 その年の暮れになって読み終えたが、その段階では必ずしも感心しなかった。山本氏は常温核融合が可能であるという前提に立っているようだが、常温核融合自体が未だに実証されたわけではない。地殻内程度の圧力や温度でも、水素原子同士の融合が起こり得るのだ、ということをまず実証しなくてはならない。全ての議論はそれからである。そのステップをとばしての結論では、トンデモに類する空論だ、とその時の私は思った。

 地震についても、わずか5~6例を挙げているだけで、「地震学のウソ」とはおこがましい、とも思った。前書きには次のようにある。

[なお、本書のタイトル「地震学のウソ」は、今日の日本の地震学界から排斥されてしまった前国立極地研究所所長の島村英紀著『「地震予知」はウソだらけ』を拝借した。]

 え? 島村先生にそんな本あるの? とそのことをも疑ったが、それは間違いではなかった。「公認『地震予知』を疑う」(柏書房 2004年)が他社で文庫本として出版された時に、「『地震予知』はウソだらけ」(講談社文庫 2008年)に改題されたらしい。それにしても、島村氏の本は出版社同士でも引っ張りだこのようである。

 そのタイトルからして、プレートテクトニクス説を批判しているに違いない、という私の思い込みも裏切られた。なるほど断層説やアスペリティ説に対して疑問を呈してはいるものの、プレート説の根源に対しては全く疑問を持たず、むしろ自説に積極的に組み込んでいる。水がプレートの沈み込みによって地殻内に取り込まれ、分解されて水素が発生し、核融合する。そしてその時に地震が発生する、というのが彼の説の核心であるようだ。それでは、プレートの沈み込みのない中国などの大陸内部地震はどうして起こるのか、という批判は別としても、根本的な姿勢、という点で私とは違う。  

 私も一応、地殻底のマグマの水平移動がさえぎられて歪みが溜まった後、それが爆発的に解放されるのが地震だ、言ってみれば、地殻底における水平の噴火だ、という地震発生仮説を持ってはいる。しかしそれだけでは、余震や3・11地震のような連続多発地震を説明することは出来ない。つまり地震発生機構に対しては、今も結論が出たわけではなく、もっと良い仮説がないものかと探し続けている最中である。

 私にとっての最大の関心事は、プレートテクトニクス説の欠陥である。これほどにも多くの欠陥があるというのに、人は何故、それらに触れようとはしないのだろう。大御所といわれるような人を表立って批判できないように、プレート説も学説となって以来誰も批判しなくなってしまった。大御所の場合とは違って相手は科学的真理である。批判をためらうべきではない。カール・セーガンも書いているように(地殻底のマグマ層 その21)、むしろ積極的に批判すべきなのだ。そしてそれこそが、科学を本当の意味で愛するということなのだ、と私は信じている。

 これを書くために、最近になって「地震学のウソ」を読み直してみた。水素核融合地震説に賛成できるか否かは別として、これは地震についてをまじめに考察している良い本である、と思えるようになった。あるいは、以前はタイトルに対するこだわりから、期待が大き過ぎて失望した、ということなのかもしれない。

« 地震は水素爆発で起こる その6 | トップページ | 地震は水素爆発で起こる その8 »

マグマ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1397932/52787180

この記事へのトラックバック一覧です: 地震は水素爆発で起こる その7:

« 地震は水素爆発で起こる その6 | トップページ | 地震は水素爆発で起こる その8 »