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2013年8月

2013年8月30日 (金)

地震は水素爆発で起こる その10

  「地震は爆発」を支持する地震かも

 山本寛氏の「地震学のウソ」には「『岩手・宮城内陸地震』の余震分布が否定する『現代地震学』」の項目がある。途中までを以下に引用する。

[「岩手・宮城内陸地震」の震源深さは約8キロメートル、地震の大きさはM (マグニチュード)7・2であり、岩手県と宮城県で最大震度6強を観測した。発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸をもつ逆断層型で、地殻内の浅い地震である。

この地震の特徴としては、次の4つが挙げられる。

① 約15キロ東の「花巻・北上西起震断層」と約15キロ西の「横手盆地東縁断層」の中間の、従来は活断層が知られていない場所で地震が発生した。

② 上下方向の加速度3866ガル、3成分合成加速度4022ガルを記録した。

③ 西傾斜の逆断層とされているが、それを実証できる余震分布が得られていない。

④ 地表地震断層が過大に見積もっても4キロ程度しかない。]

[現代地震学では、「余震」は「震源断層」の周りで起きるとされている。しかし、1章の図1(2章の間違いではないかと思う。図はあえて転載しない)に見るように、余震分布は西傾斜とはとても言えない。

余震の分布が震源断層に沿って起きていないことは、「地震=断層運動説」にとって、危機的なことと言える。なぜなら、「震源断層は震源断層に沿って起きる余震分布でもって決められる」という現代地震学の大原則に反する事象であるからである。]

 この現代地震学を批判している部分は、ことの重要さが私にはよく理解できない。地震学を根底から揺るがすようなものではなく、エピソード程度のささいな問題にこだわっているように思われてならない。しかし、そう言えばこの地震は不思議な地震だったよな、と思い起こさせてくれた。

 私も「ガル」の問題に関連して書いたことがある(原発問題を考える その2627)。「その26」の中で私は、「この時の4022ガルは観測史上最大で、ギネスブックに認定された」「上下方向の加速度だけでいうと3866ガル、重力加速の4倍もある。宇宙飛行士の乗るロケットの初速度は3000ガル程度と言われているから、地震の加速度の方がそれよりも大きいということになる」と書いている。

 ロケットの初速との比較には、ちょっとした間違いがあった。ロケットは上への一方向であるが、地震の場合には上下両方向である。したがってロケットと地震とを比較する場合には、下への重力加速度980ガル分を引かなくてはならない。答えは2886ガル。ほぼ3000ガルとなり、ロケットの初速と同じか少し少ない程度である、ということになる。いずれにしても、大変な加速度であることには変わらない。

 いったい何故日本の並みの土地で、そんな世界記録が出たのだろうか? 不思議に思いはしたもののその時は、そんなものか、でやり過ごした。

 「地震学のウソ」を読んでその時の思いを思い出し、調べてみて驚いた。普通の地震が水平方向に強く揺れるのに対し、この地震は上下方向に2倍以上強く振動したという。とすればこれこそは、地下から地表に向けて突き上げる巨大な力が働いた証拠であるのかもしれない。つまり、「地震爆発説」を支持する地震なのかも知れない、と思った。

2013年8月22日 (木)

地震は水素爆発で起こる その9

  水注入やダムによる誘発地震 

 山本寛氏の「地震学のウソ」においては、誘発地震についての記述がかなりの割合を占めている。デンバーでの廃液注入による地震、ダムが誘発した地震、CO2注入によるもの、水圧破砕法によるものなどが出ていて詳しい。日本関連では2004年10月の新潟県中越地震(M6.8)と2007年7月の新潟県中越沖地震(M6.8)とが、それらにより誘発された地震ではないか、と疑われている。

 この問題に関しては、島村英紀氏もいろいろなところで扱っている。「地震は妖怪 騙された学者たち」(2000年)の中で扱われている分、そして「日本人が知りたい地震の疑問66」(2008年)における分とは、既に私が引用している。(地殻底のマグマ層 その3)、(地殻底のマグマ層 その24

 彼のウェブサイトで扱われているのは、「地震学がよくわかる」(2002年)からの転載のようであるから、上記の2冊の本の間の時期に書かれたものである。したがって、上記2冊を合わせたものとほぼ同じことが書かれていると思われる。さらに、ウェブには付記がいくつかあり、新しい情報が付け加えられている。http://shima3.fc2web.com/sekou9701damzisin.htm

 さて、問題なのは「水の注入により何故地震が引き起こされるのか?」という点である。山本寛氏の仮説からすれば、地下に注入された水が分解され、それによって生じた水素が核融合を起こしたから、ということらしい。

 プレートテクトニクス説によれば、水により摩擦が緩(ゆる)み、蓄えられた歪が解放される、と考えられている。その考えに基づいて、地震をコントロールしようというアイデアもある。水を注入して小さな地震を何回にもわたって誘発してやれば、蓄えられたエネルギーが発散されるのではないか、というわけである。「地震を探る」(力武常次、山崎良雄共著、東海大学出版会、1975年)という本には既に書いてあるので、ずいぶんと昔から思いつかれていたようだ。

 歪が長いこと蓄えられるという考え方自体、私からすれば、かなり疑わしい。私がニュースレターにこの問題を書いていた1992年のころ、図書館で “The Earth” (Peter J. Smith, McMillan, 1986) という本を見つけて引用した。内容は、今となれば島村氏などによって書かれていることとほぼ同じなのだが、それらによって語られていない情報もある。イラストである。その本には、ダムにより誘発された地震として、公認されている地点を示す世界
 Img_3

地図が出ていた。 

 地震多発地帯にダムがあり、そこで地震が起こったとしても、それが自然のものか誘発されたものか、区別することは出来ない。したがって、誘発地震として認められたものは、それまで地震など起きたこともないような地帯のものに限られる。そのことを考慮した上でなお、残る疑問がある。普段は地震が起こらないプレートの中央部に歪が溜まっていたというのは、後から取って付けた理屈のようにしか思えない。

 プレート・テクトニクス説においては、地震多発地帯をプレートの境界として定め、それはプレート同士の衝突やずれ合いによって起こるのだと説く。それでは、オーストラリア南東部、ブラジル、アフリカ、ヨーロッパ、中国など、プレート内に起こった数多くのダム誘発地震を何と説明するのだろうか? それらは全て、断層のせいにするのだろうか?

2013年8月15日 (木)

地震は水素爆発で起こる その8

  断層は地震の後に出来る

 山本寛氏は「地震学のウソ」の中で、「地震は断層によって起こる」という現在の地震学における学説を批判している。2008年の四川大地震の時に、「地震発生後1階と2階にいた低学年生徒たちが広場に着いたときは断層はまだ見られなかったが、その後コンクリートの破壊音を伴いながら段差が現われた」(地震学会ニュースレターより)という話を紹介している。そのことからすれば、地震がまず起こり、断層はその結果として生じたのだ、とするのが順当な考え方だろう。

 この地震と断層の問題は、私も扱ったことがある(地殻底のマグマ層 その151617)。今これを書くために、その時参考にした松田時彦氏の「動く大地を読む」(岩波書店 1992年)をもう一度調べ直してみる。「動く断層をみた話」という小見出しの箇所には、似たような例がいくつも出ている。そのうちの最も印象的な目撃談を以下に引用する。

[もっと直接的に、断層が地表にできていく様子を見ていた人がいました。1983年のアメリカのアイダホ州の地震のときの話です。そのあたりは背の低い草が生えている半分砂漠のような風景のところです。目撃者は夫婦で狩りをしていました。旦那さんが鹿を追い立てにいき、奥さんが崖から300メートルぐらい離れたところで、追われた鹿が崖に現われるのを待っていました。そのとき強い振動があって、奥さんの体は転がされました。その強い揺れがほぼおさまったころ、その崖に白い帯が現われ、およそ1秒の間に1・5メートルほどその崖が高くなりました。

白い崖というのは、いままで地面に隠れていた部分が新しく隆起して地表に顔を出した部分のことです。砂漠の表面は茶色っぽくなっていますから、いままで地面の下にあった部分が顔を出すとそれが白く見えるのです。]

 松田時彦氏は、日本の活断層についての大御所的存在であった。地表の断層が地震の振動の後で出来た数多くの例を知っていたはずである。その上でなお、断層が地震の原因であるとする「弾性反発説」の方を取った。しかも、「岩石はバネのようにというよりはむしろ粘土のように動くものであり、歪みを蓄えて弾性的に反発するわけではない」と考えていた石本巳四雄東大地震研究所所長の反対論を充分承知の上でなお、断層が原因であるという説の方を取っている。専門家には専門家なりの論理があるのだろう。しろうとの我々には計り知れない。

 学説によれば、沈み込むプレートはアスペリティと呼ばれるざらざらの部分で引っかかっていて、歪を蓄える。それが限界に達したときに、引っ掛かりがはずれて地震が発生するとも言われる。元機械系の技術者であった山本氏は「地震が一度起きたところでは、地震は再び起きない」と考え、次のように述べている。

[なぜなら、一度破損したところを溶接で補強しても、そこの強度は前より弱くなるのが通常であり、まして溶接作業ができない地中の「アスペリティ」では、一度破壊が起きれば、その断面は大変滑りやすくなり、再び歪エネルギーを蓄えることは不可能だと考えるからである。]

 私も彼の考え方に賛成である。以前私も、「地殻には、活断層やトランスフォーム断層が無数に出来るほどひびが入っている。ひびの入っているクシをはじいて、反発するはずもない。同様に、陸地にもコンニャクのような反発力はない」と書いた(地殻底のマグマ層 その15)。しろうとには当たり前に思えるこうした理屈も、専門家には通用しないのかもしれない。何ともおかしな話である。

2013年8月 8日 (木)

地震は水素爆発で起こる その7

  「地震学のウソ」という本

 2010年東京へ行ったとき、本屋の地球関連の棚に、「地震学のウソ」(工学社 2009年5月)という刺激的なタイトルの本を見つけた。著者の山本寛氏はヤマハ発動機のエンジニアだったらしいのだが、地震学に特に詳しい人には思えない。そういう人のそういうタイトルの本が、地震学の他の本と肩を並べて置かれているということだけでも驚いた。

 その年の暮れになって読み終えたが、その段階では必ずしも感心しなかった。山本氏は常温核融合が可能であるという前提に立っているようだが、常温核融合自体が未だに実証されたわけではない。地殻内程度の圧力や温度でも、水素原子同士の融合が起こり得るのだ、ということをまず実証しなくてはならない。全ての議論はそれからである。そのステップをとばしての結論では、トンデモに類する空論だ、とその時の私は思った。

 地震についても、わずか5~6例を挙げているだけで、「地震学のウソ」とはおこがましい、とも思った。前書きには次のようにある。

[なお、本書のタイトル「地震学のウソ」は、今日の日本の地震学界から排斥されてしまった前国立極地研究所所長の島村英紀著『「地震予知」はウソだらけ』を拝借した。]

 え? 島村先生にそんな本あるの? とそのことをも疑ったが、それは間違いではなかった。「公認『地震予知』を疑う」(柏書房 2004年)が他社で文庫本として出版された時に、「『地震予知』はウソだらけ」(講談社文庫 2008年)に改題されたらしい。それにしても、島村氏の本は出版社同士でも引っ張りだこのようである。

 そのタイトルからして、プレートテクトニクス説を批判しているに違いない、という私の思い込みも裏切られた。なるほど断層説やアスペリティ説に対して疑問を呈してはいるものの、プレート説の根源に対しては全く疑問を持たず、むしろ自説に積極的に組み込んでいる。水がプレートの沈み込みによって地殻内に取り込まれ、分解されて水素が発生し、核融合する。そしてその時に地震が発生する、というのが彼の説の核心であるようだ。それでは、プレートの沈み込みのない中国などの大陸内部地震はどうして起こるのか、という批判は別としても、根本的な姿勢、という点で私とは違う。  

 私も一応、地殻底のマグマの水平移動がさえぎられて歪みが溜まった後、それが爆発的に解放されるのが地震だ、言ってみれば、地殻底における水平の噴火だ、という地震発生仮説を持ってはいる。しかしそれだけでは、余震や3・11地震のような連続多発地震を説明することは出来ない。つまり地震発生機構に対しては、今も結論が出たわけではなく、もっと良い仮説がないものかと探し続けている最中である。

 私にとっての最大の関心事は、プレートテクトニクス説の欠陥である。これほどにも多くの欠陥があるというのに、人は何故、それらに触れようとはしないのだろう。大御所といわれるような人を表立って批判できないように、プレート説も学説となって以来誰も批判しなくなってしまった。大御所の場合とは違って相手は科学的真理である。批判をためらうべきではない。カール・セーガンも書いているように(地殻底のマグマ層 その21)、むしろ積極的に批判すべきなのだ。そしてそれこそが、科学を本当の意味で愛するということなのだ、と私は信じている。

 これを書くために、最近になって「地震学のウソ」を読み直してみた。水素核融合地震説に賛成できるか否かは別として、これは地震についてをまじめに考察している良い本である、と思えるようになった。あるいは、以前はタイトルに対するこだわりから、期待が大き過ぎて失望した、ということなのかもしれない。

2013年8月 1日 (木)

地震は水素爆発で起こる その6

  深海掘削船「ちきゅう」の軌跡 

 前回書いたように、2011年1月に私は、深海掘削船「ちきゅう」についてを調べていた。ちょうどその頃の「ちきゅう」のホームページには、紀伊半島沖で、南海地震の想定震源域を掘削中と出ていた(地殻底のマグマ層 その22)。

 その後そのホームページをしばらく訪れないでいたところ、地震後のテレビニュースで「ちきゅう」の名前を聞き、びっくりした。掘削というのは時間がかかるはずである。1月に紀伊半島で掘削していたというのに、いつの間にドリルを引き上げて、三陸沖まで航海してきたのだろうか?

 最近になって再び、そのホームページを調べ直してみたところ、掘削は時間がかかるはずだという私の思い込みの方が、どうやら間違いらしいと知った。プロジェクトはいくつものものがあり、それらの期間は短い。言ってみれば、地殻底のモホ面にまで達するような深い穴を掘るプロジェクトはまだ始めていず、あちこちで、浅い穴をあけて回っているらしい。

 あの当時に紀伊半島沖にいたのも、わずか1ヶ月の短いプロジェクトのためであった。その後三陸沖に向かい、八戸港で係留中に3・11の地震と津波に遭遇した。

 ちょうど48名の小学生が船内を見学中であったが、彼らを乗せたまま港湾内で、渦巻く津波に翻弄(ほんろう)された。その時に、掘削時に船を一定位置に留めるためのプロペラの一つを損傷し、応急修理のため室蘭港へと向かった。

 私はこのニュースを聞いたとき、津波に巻き込まれて損傷を受けたことは残念であるとしても、沖合いで掘削中でなかっただけ良かったのでは、と思ったりした。もしも沖合いにいたら、3・11地震を引き起こした犯人だと疑われることになったかもしれない、と思ったからだ。

 ところが驚いたことに、もう既に疑われていたのだ。もしも「ちきゅう」が何らかの形で地震の発生に関与していたとすれば、地震が起こる時間まで知っていたはずである。見学のための小学生一行を乗船させたりはしないだろう。八戸港では、次のプロジェクトのための資材を積み込み中であった。津波警報が出てから、積荷作業を中断して避難行動をとっている。地震や津波が起こることを予め知っていての対応であるはずはない。恩田裕治船長とのインタビュー記事http://www.jamstec.go.jp/chikyu/magazine/j/future/no12/を読めば、プロペラ1基の損傷程度でよく済んだと思わせるような、大変な状況だったのである。建造費600億円もする貴重な船を、地震や津波を起こして、自分たちから危険な目に合わせるということはあり得ない。

 それでもなお、ネット上で「ちきゅう陰謀説」を唱えるものたちはひるまない。子供たちを見学させていたのはアリバイ工作だった、と書いている者もいる。一度思い込んでしまったら、何があっても基本的なシナリオは変えない、ということなのだろう。

 しかし、私から言わせると、「ひるまない」という点では科学者も負けてはいない。あんな謎だらけの巨大地震が起こった後でも、海溝型地震はプレートの沈み込みによって起こる、という基本的な見方を全く変える気はないようで、摩擦熱を調べるために「ちきゅう」で掘削する、などとある。仮に熱が見つかったとして、マグマに近いあたりである。摩擦熱を証明することにはならないだろう、と思う。

 この問題は、先にいってから改めて取り上げるつもりである。

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