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2013年7月 8日 (月)

地震は水素爆発で起こる その3

  深海掘削船「ちきゅう」への疑惑

 前述の月刊「ムー」誌の地震兵器に関する記事のプロローグには、次のような記述がある。

[(ネット上の疑惑によれば)日本海溝の海底に原爆を仕掛けて、HAARPの電磁波で起爆させ、地震を起こしたというのだ。つまりこれは核爆発による4連続人工地震だった。それも深海ボーリングにより海底深く充填(じゅうてん)された原爆を爆発させたというのである。そんなことが可能なのか?いったいだれが、そんな大それた仕掛けをしたというのか?

[ある研究者によると、それを仕掛けたのは、深海掘削(くっさく)船「ちきゅう号」だという。当時、偶然なのか、ちきゅう号は震源域北端の日本海溝付近で、海底ボーリングをしていたのだ。しかも同号は、これまで実際に人工地震を起こしており、その地震波を計測できる機能を擁(よう)している。]

 「掘削船ちきゅう 人工地震」のキーワードで検索してみると、例えば、人工地震を発生させるという乗組員の言葉などが、動画入りで引用されていたりする。「動かぬ証拠」(いや動画だから動く証拠かな?)だというわけなのだろう。全ては「人工地震」という言葉への誤解から始まっているようである。

 もともと「人工地震」という言葉を地震学関係者が使うのは、観測や実験に使う小規模な地震の場合に限られる。災害をもたらすほど大規模な地震を、地震学者が人工的、意図的に生み出す能力はまだ持ってない。人間が予期せずに中規模地震(あるいは大規模な場合も疑われてはいる)を引き起こしてしまった場合については、「人造地震」あるいは「誘発地震」と呼び、「人工地震」とはあえて区別している。

 「人工地震」で検索したら、「誘発地震」の項に、次のような記述が出ていた。

[「人工震源と異なり、人為的な原因によって引き起こされる自然地震(誘発地震・人造地震)のことを、同じく「人工地震」と呼称する場合がある」]

 出典が「日本人が知りたい地震の疑問66」(サイエンス・アイ新書)となっている。これは島村英紀氏の書いた本である。さっそくに調べてみた。

[実は、人間は知らないうちに地震を起こしてしまったことがあるのです。地震が起きそうなだけ地下にエネルギーがたまっているときには、人間が地震の引き金を引くことができるということがわかってきたのです。つまり「人造地震」です。

[地球の内部を調べるために、爆薬のような人工震源を使って調べる方法を人工地震といいます。これは、自然に起きる地震よりもはるかに小さなエネルギーのもので、この人造地震とは違うものです。]

 島村氏がはっきり「違うものです」と断言しているのに、全く正反対に捉えられている。私もかって、英文のニュースレターを月に1回発行していたとき、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の地質学名誉教授や、北カロリナ大学の大学院生などの論敵を持っていた。非常な紳士たちで、今でも懐かしく思うほど彼らとの科学的な議論の交換は楽しいものだったのだが、たった一つだけ困ったことがあった。私の論旨を間違って要約するのだ。問題の箇所をそっくり引用してくれと頼むのだが、聞き入れられたことはなかった。

 私は彼らとの論争以前から、ニュースレターでは、読者からの手紙の引用を多く使っていた。英語の下手な私が要約などできないから、原文そのものが面白いから、スペースを埋める意味から、などの理由によってだったが、正確さ、という意味もあることを知ってからは、引用を多用することが、すっかり私のスタイルとなった。

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