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2013年7月

2013年7月25日 (木)

地震は水素爆発で起こる その5

  マグマの水平移動はプレート説の欠陥

 2011年1月、私は「地殻底のマグマ層」の下書きを書いていた。その3ヶ月前に島村英紀教授とお会いしたことを書くつもりでいたが、その前に先ず、私が読んだ彼の本を紹介したいと思っていた。もう一度何冊かを調べ直していたら、ちょっとした紹介ではすまなくなった。既に一部は引用した(地殻底のマグマ層 その2)が、「地底を歩くカタツムリ妖怪」は特に興味深い。

 M7.5の房総沖地震やM7.9の十勝沖地震が起きた後、日本海溝近くの震源域から西へと、何かしらが移動したことを示す地面のふくらみが観測された。その移動のスピードはきわめて遅く、年に20キロ、カタツムリなみの速さである。そしてそれは日本だけではなく、ペルーでも同じような現象が見つかっているが、「どんな妖怪が地下を動いているのかは、まだ謎のまま残されている」というのが、その時に引用した部分とその後に続く部分の要旨である。

 「地震は妖怪 騙された地震学者たち」(講談社+α新書、2000年)には、続いてトルコの連続地震のことも出ている。

[トルコを東西に走る北アナトリア断層という長さが1000キロもある大断層がある。この断層の東から西へ、順々に大地震が起きたことがある。

つまり、1939年にこの活断層の東の端に近いところでマグニチュード8の地震が起きたあと、1942、1943、1944年と5年の間に次々に西へ場所を移しながら、マグニチュード7クラスの大地震が続いたのである。この5年でいったん収まったかに見えたのだが、1950年代になって、このへんから西へ向かって3回も、マグニチュード7クラスの地震が起きた。つまり1967年までの約30年の間にマグニチュード7から8に近い大地震が西に移動しながら合計7つも起きたのである。

この大地震の移動していった速さが、年平均で80キロメートル。日本の例よりも速いが、桁が違うほどでもない。やはりカタツムリの速さなのである。]

 他にもある。1991年6月に、大火砕流による大惨事を引き起こした雲仙普賢岳の場合、それ以前からの活動があり、橘湾から普賢岳頂上直下まで、斜め上方に移動するのにちょうど1年かかっている(地殻底のマグマ層 その13)。その間の距離は、「地震と火山の100不思議」(東京書籍、2004年)の記述と図から推察すると、15キロから20キロ。やはりここでもカタツムリの速さである。

 他に、「地震予知を考える」(茂木清夫、岩波新書、1998年)にはマグマの水平移動を思わせる記述もある(地殻底のマグマ層 その27)。そして深部低周波微動の水平移動(同 その23)という不思議な現象もある。ちょうどその頃、新燃岳が噴火した。私には、今まさに地殻底を移動しつつあるマグマが目に見えるようにも思えた。

 このような地底の何ものかの水平の動きは、プレートテクトニクスにおける根源的な欠陥の一つである。島村氏は「この妖怪は、そもそも海溝でのプレートとプレートの押し合いから生まれた鬼っ子である可能性が強い。しかし、それがなにものであるか、私たちはまだ知らない」と慨嘆(がいたん)している。水平に移動するプレートは全体として移動しているのであって、内部の一部だけが移動するという現象に対しては、全く説明のしようもない。つまり、地底のマグマの水平移動などは、プレート説にとって、あってはならない現象なのである。

 というわけで当時の私の関心は、すっかり地殻底に向かっていた。地殻底を掘り抜くことを最終目標にしている地球深部探査船「ちきゅう」(同 その22)を、東北地方太平洋沖地震直前の1月の段階で、調べる気になったのは当然の成り行きであった。

2013年7月15日 (月)

地震は水素爆発で起こる その4

  深海掘削船「ちきゅう」が起こす人工地震

 これも島村英紀氏の本からだが、「地震は妖怪 騙された学者たち」(講談社+α新書、2000年)の中に人工地震に関した記述がある。

[私の仲間の一人が東京の電車の中で手帳を落とした。誰かの手を経て届けられた手帳に、警察は青くなった。「爆破予定」や「爆破薬量」が書いてあったからである。交友関係や背後関係など、だいぶ調べられたらしい。

[そう、この私たちの学問は日本語に限らずそれぞれの国の言葉で「爆破(ばくは)地震学(じしんがく)」と言われている。人工的に地震を起こして、地球の中を探る学問なのである。]

[スイカの熟(う)れ具合を確かめるのに叩(たた)いて音を聞く。これは人工地震そのものなのだ。また、先年、新幹線のトンネルの壁が次々に落ちたとき、ハンマーで壁を叩く検査が行われた。これも人工地震そのものなのである。]

[人工的な地震を起こすのには、火薬を使うことが多い。本当に爆破をやるのである。小さいもので百グラムから数キロほど、前にやった世界最大規模のときには何トンという火薬を爆破させた。もちろん魚や海獣たちに影響のない場所と時期に行うのである。]

[しかし近頃では人工地震の震源として、火薬のほかに、エアガンという圧縮空気(あっしゅくくうき)を使った「大砲」を使うことも増えた。この震源は、第一に火薬よりも安全だし、出す地震波の振幅や波形をコントロールしやすいので、次第に増えつつある。]

  「ちきゅう」もエアガンを使っているようである。船でエアガンを引き回し、そこから発振される音波が、海底の地層でどのように反射されるかを観測するのである。いうならば、「ちきゅう」が起こせる地震も、スイカを叩く程度の小規模なものである。

ネットで「地震兵器」とか「人工地震」を問題視するのは、小さなハンマーでトンネルや橋の打音検査をしている作業員を見て、トンネルや橋を破壊しようとしている、と騒ぎ立てるに等しい。

 乗組員が白昼堂堂と「人工地震起こします」と言えるのは、それが日常的に行われる実験作業の一部だからである。かえって、巨大地震とは関わりないという状況証拠の一つである、と言える。

 だいたい、地震学者が巨大地震を起こせるなんて買いかぶり過ぎである。私も、陰で根回しする小沢一郎氏の力を大きく評価し過ぎて、政界裏のシナリオを想像で書き、恥をかいたことがある。後で考えれば自分でもそんなことあるわけはない、と思えることでも、思いついた当座はとらわれてしまう。

 地震予知もできない地震学者に、巨大地震を引き起こす能力などあるわけはない。断層が、とか、歪みが溜まって、とか言っても、しょせんは間違った仮説体系から導き出された空想の産物であるに過ぎない。地下の本当の姿は、実際に掘ってみないと分からない。仮説体系に縛られての姑息(こそく)な実験ではなく、「何が地震を起こすのか」を根源から解決するような、本当の意味での人造地震実験を行えるようになってもらいたい。

 その意味で私は、深海掘削船「ちきゅう」の更なる活躍を期待しているし、今後の動向を注視していくつもりである。

2013年7月 8日 (月)

地震は水素爆発で起こる その3

  深海掘削船「ちきゅう」への疑惑

 前述の月刊「ムー」誌の地震兵器に関する記事のプロローグには、次のような記述がある。

[(ネット上の疑惑によれば)日本海溝の海底に原爆を仕掛けて、HAARPの電磁波で起爆させ、地震を起こしたというのだ。つまりこれは核爆発による4連続人工地震だった。それも深海ボーリングにより海底深く充填(じゅうてん)された原爆を爆発させたというのである。そんなことが可能なのか?いったいだれが、そんな大それた仕掛けをしたというのか?

[ある研究者によると、それを仕掛けたのは、深海掘削(くっさく)船「ちきゅう号」だという。当時、偶然なのか、ちきゅう号は震源域北端の日本海溝付近で、海底ボーリングをしていたのだ。しかも同号は、これまで実際に人工地震を起こしており、その地震波を計測できる機能を擁(よう)している。]

 「掘削船ちきゅう 人工地震」のキーワードで検索してみると、例えば、人工地震を発生させるという乗組員の言葉などが、動画入りで引用されていたりする。「動かぬ証拠」(いや動画だから動く証拠かな?)だというわけなのだろう。全ては「人工地震」という言葉への誤解から始まっているようである。

 もともと「人工地震」という言葉を地震学関係者が使うのは、観測や実験に使う小規模な地震の場合に限られる。災害をもたらすほど大規模な地震を、地震学者が人工的、意図的に生み出す能力はまだ持ってない。人間が予期せずに中規模地震(あるいは大規模な場合も疑われてはいる)を引き起こしてしまった場合については、「人造地震」あるいは「誘発地震」と呼び、「人工地震」とはあえて区別している。

 「人工地震」で検索したら、「誘発地震」の項に、次のような記述が出ていた。

[「人工震源と異なり、人為的な原因によって引き起こされる自然地震(誘発地震・人造地震)のことを、同じく「人工地震」と呼称する場合がある」]

 出典が「日本人が知りたい地震の疑問66」(サイエンス・アイ新書)となっている。これは島村英紀氏の書いた本である。さっそくに調べてみた。

[実は、人間は知らないうちに地震を起こしてしまったことがあるのです。地震が起きそうなだけ地下にエネルギーがたまっているときには、人間が地震の引き金を引くことができるということがわかってきたのです。つまり「人造地震」です。

[地球の内部を調べるために、爆薬のような人工震源を使って調べる方法を人工地震といいます。これは、自然に起きる地震よりもはるかに小さなエネルギーのもので、この人造地震とは違うものです。]

 島村氏がはっきり「違うものです」と断言しているのに、全く正反対に捉えられている。私もかって、英文のニュースレターを月に1回発行していたとき、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の地質学名誉教授や、北カロリナ大学の大学院生などの論敵を持っていた。非常な紳士たちで、今でも懐かしく思うほど彼らとの科学的な議論の交換は楽しいものだったのだが、たった一つだけ困ったことがあった。私の論旨を間違って要約するのだ。問題の箇所をそっくり引用してくれと頼むのだが、聞き入れられたことはなかった。

 私は彼らとの論争以前から、ニュースレターでは、読者からの手紙の引用を多く使っていた。英語の下手な私が要約などできないから、原文そのものが面白いから、スペースを埋める意味から、などの理由によってだったが、正確さ、という意味もあることを知ってからは、引用を多用することが、すっかり私のスタイルとなった。

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