« 地震は雷のようなもの その8 | トップページ | 地震は雷のようなもの その10 »

2013年4月 8日 (月)

地震は雷のようなもの その9

  上空の変異の電磁気的調査法

 中央公論2011年4月号に掲載された上田誠也氏の論文「どうする! 日本の地震予知」(地震は雷のようなもの その1)には電磁気的な予知の研究者について言及した部分がある。例えば「高周波(FM電波)伝播に関わる現象は、八ヶ岳南麓天文台の串田嘉男氏が発見した純日本産のものである」とか、「実用化といえば、同じく電波伝搬に関わるが、電気通信大学の早川正士教授らの低周波領域での前兆研究もある」などとある。

 最近になって、早川正士氏の「最新・地震予知学」(祥伝社NON・BOOK)という本を読んでみた。出版そのものは1996年と古い本で、以前に買ってはあったのだが、今まで読む機会がなかった。さまざまな周波数帯の電磁波についての解説があり、それらの違いなどを理解するのは結構厄介である。彼はオメガ波という低周波に着目している。1995年の阪神淡路大震災時に、対馬から発信されていたその電波の波形に異常が見られたから、らしい。もう20年近くが経ち、かなりの成果を上げられたものと思う。実際にも、上田誠也氏の前述の本の中に「最近会社を立ち上げ、近く予知情報の有料配信をスタートするとのこと、その利益で乏しい研究費を補って研究を進めるという」との記述がある。かなりの自信があるらしい。

 しかし早川氏の本によれば、オメガ波が有効なのは陸上においてであり、直下型地震の予知だけが可能だ、とある。今回の東北地方太平洋沖地震のような海溝型の場合には予知できないはずである。有料の会員にそれでも不満はないのだろうか?

 昨年7月に放送された「地震予知/上空に現れた謎の異変」(NHK「サイエンスZERO」)という番組によれば、電離層における電子数は、昼多くなり夜少なくなるのが通常である。しかし東日本大震災直前の3月8日からは、夜間になっても電子が減ることはなく、多いままだったという。

 この番組のゲストは千葉大の服部克己教授であった。彼の解析により、直前3日前の3月8日から、何かしら、震源近くより上空へと立ち上るものがある、ということが明らかにされた。前回引用した鴨川仁氏の解説においては、電子の変化は震央を中心とした波として表れる、ということであった。鴨川氏の場合は地震後に水平の変化として表れるのに対し、服部氏の場合は地震の直前、垂直型として表れるわけである。

 「地震は予知できるか」(別冊宝島 2011年8月刊)の、服部氏に取材して書かれた記事の中に、以下のような記述がある。

[GPSはより精度が高そうだが、その計算には衛星の軌道データが必要だ。このデータの公表が3日後のため、どうしても異常の検出が後追いになる。また、現状の観測体制では震源場所と規模の特定も難しく、まだ役に立つ予知情報にはならないという。]

 このようにして本やテレビ番組などを見ていくと、GPS衛星を使って、電離層における電子数の変異を調べていくという方法は、確かに経済的でもあり、広範の調査が可能なわけで、将来の予知のためには非常に有望そうではあるのだが、まだいろいろな難問を抱えているらしくもある。

« 地震は雷のようなもの その8 | トップページ | 地震は雷のようなもの その10 »

上田誠也教授」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1397932/51145108

この記事へのトラックバック一覧です: 地震は雷のようなもの その9:

« 地震は雷のようなもの その8 | トップページ | 地震は雷のようなもの その10 »