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2013年4月14日 (日)

地震は雷のようなもの その10

  地底の電波は地上に出られるのか?

 このようにして、地中の電磁波が上空の状態に影響を及ぼすこと自体は疑いようのない事実ではあるのだが、どうしてそれが可能なのか?と考えるとき、以下のような疑問が生じる。

 大槻義彦氏の「物理・こんなことがまだわからない」(講談社ブルーバックス 1998)には以下のような記述がある。この中にある健治君とは高校1年生で、旅先で知り合った物理学者から物理学の問題点を教えてもらう設定になっている。

[福井工業大学の芳野赳夫教授が、地震前後に阪神高速道路を走っていたトラックの運転手から聞き取り調査をしたところ、本震の少し前から、突然カーラジオがものすごい雑音のために聞こえなくなったという。ラジオを切らずにいたら、下から突き上げるものすごいショックで急ブレーキをかけた。気を取り直してラジオを聴くと雑音は消えていて、通常の放送が聞こえたという。

ところで健治君はラジオが好きなようだから、普通はトンネルの中とか地下街ではラジオが聞こえにくくなることは知っているね。携帯電話も使えなくなる。

これは電波が地下には届かないからなんだ。空中を伝わってきた電波の一部は地面で反射されるし、残りの電波は地面の熱となって吸収されてしまう。トンネルや地下街の中でもラジオが聞こえたり、携帯電話が使えるところがあるのは、わざわざアンテナを張ってサービスをしているからだよ。

しかし、電波が地面から地中に入ることができないなら、逆に、地中から地面に電波が伝わってくることもないはずじゃないか。地震は地下数キロメートルとか数十キロメートルという深さで起こるんだが、そのとき岩盤が割れて電波が放出されたとしても、その電波はすぐに吸収されてしまい、地表までは届かないはずだろう。

それがどうして、地震の時にラジオの雑音となるのか、どんな雑音電波が地表に放出されるんだろうね? これは専門家を悩ませている大きな問題の一つなんだよ。]

 この引用箇所のすぐ前には、地震前によく見られる動物の異常行動の話が出ている。以前も書いた(東北地方太平洋沖地震 その7)ように、動物が地震そのものを恐れるとは思えない。地震そのものが動物の生存を脅かすことはほとんどないからだ。人間にはわからない何かを感じ取るのだろう。音かもしれないし、臭いかもしれない。しかし一番可能性が高いのは電磁波であると思われる。地震前に地中では電磁波が発生して、その一部が地表にも漏れるのだろう。

 前掲の「地震は予知できるか」(別冊宝島 2011年8月)には、太田光明氏(麻布大学 獣医学部介在動物学教授)の次のような言葉もあり、興味深い。

[「長年の実験を通してわかったことは、実験のために飼育されている実験動物では反応しにくいということ、野生に近い状態で飼育されている動物のほうが反応しやすいのです。また、電磁波を再現することも難しいとわかりました」

機械による電磁波はどうしても規則的で、地震のときに発生する不規則な電磁波を再現できない。]

 動物が本当には何に感応しているのか、この方面の研究も是非続けて、異常行動を引き起こす原因になっているものは何か、科学的に解明してもらいたいものである。

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