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2013年4月22日 (月)

地震は雷のようなもの その11

  地震予知判定局の創設を

 そもそも上空の電磁気的な変異を本当に予知に使えるのだろうか? 録画しておいた「地震予知/上空に現れた謎の異変」(NHK「サイエンスZERO」)という番組を繰り返し見ているうちに疑問がわいてきた。そのきっかけは、服部克己教授が示した電離層異変の度合のグラフである。確かに3/11の3日前に電子数は異常に高まっていたが、服部氏の示すグラフではそれ以前の高まりの方がもっと際立っていた。それらは、太陽フレア(太陽表面の爆発現象)が原因の太陽風によるものだそうだ。

 2/5、2/15、3/1の後に3/8の高まりが来るのだが、後になればこれは太陽風によるもの、これは地震によるものと簡単に仕分けがつく。しかし刻一刻とデータを得ている時点で、観測者がそれをできるようには思えない。前回、衛星の軌道データを得られるのが3日後であるため、異常の検出はどうしても後追いになる、という服部氏自身の言葉を引用したが、太陽風の影響などを排除するためにもかなりの日数がかかるに違いない。

 となると、これもロバート・ゲラー氏が言う「後知」の一種であるに過ぎない。彼は「日本人は知らない『地震予知』の正体」という著書(双葉社 2011年8月)の中で、以下のように語っている。

[30年間に790件も前兆現象をキャッチしながら、予知に成功した例は言うまでもなく皆無なのである。なぜならこれらの現象は、すべて地震が起きたあとになって、「あれは前兆だった」とわかったものだからだ。これはもはや「地震予知」というよりも、単に「地震後知」と言ったほうが正しい。]

 また、3/9にはM7.3の前震が起きているが、これに対する前兆はあいまいである。 M7.3というのは本震がなかったとすれば、それ自体でも立派な大規模地震であり、前兆がないはずはない。もしかすると、太陽風による異変と重なってしまったのかもしれない。地震による電離層への影響が、太陽からの影響より小さいものであるとした場合、大地震の前兆を見逃す危険性も大きくなる。

 「地震後知」ならば、研究者は危険を冒さないで済む。しかし社会が求めているものは「地震予知」である。私は、予知情報を有料配信するという早川正士氏の勇気はたいしたものだと思う。有料であるからには責任も伴う。はずれることを学問の未熟さのせいにすることもできない。地震予知の進歩のためには、このような動きが更に進んでほしいものである。

 そこで提案である。「地震予知判定局」とでもいうような公的な機関を設け、ファックスなりイーメールなりで、予知情報を一元的に集めるようにしてはどうだろうか? ただし、そこにレポートできるのは、予め登録してある団体や個人とし、やがては、正当率ともども発表できるようにする。正当率を計算するためにはいくつかの基準を並列的に設け、Aの基準では何%、Bの基準では何%とすることが必要であるかもしれない。前掲の「地震は予知できるか」(別冊宝島)には、個人のブログで予測していたという記事も多い。ブログの場合には後で改変することも可能なわけで、信用できない面もある。そのような者でも公的な機関を事前に通すことによって、お墨付きが得られることになる。

 この提案において私が念頭においているのは、ギリシャのVAN法である。彼らが成功しているのは日本よりノイズが少ないから、だけではないだろう。ギリシャには予知通報を事前に受け付ける公的機関が整っているらしい。そのシステムの存在こそが、日本との大きな違いであるに違いない、と私は考えている。

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