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2013年4月 2日 (火)

地震は雷のようなもの その8

  地底の状態を知るのに上空を調べる

 上田誠也氏が「地震がわかる」(朝日新聞社AERA MOOK、2002年11月)に書いた記事「地電流・地磁気・電磁波の観測で地震は予測できる」の中に、雷と地震との関係を示す以下のような記述がある。

[阪神・淡路地震のときに観測された電磁気異常現象をまとめてみると……(電磁波異常ノイズが)……地震発生の一週間ほど前に鋭いピークを示していたのです。しかし、これには問題がないわけではありません。この日には雷活動もあったのです。雷は強力な電磁発生源ですから、地震前兆と見えたのは雷の電波だった可能性があります。

詳しく調べると、雷発生ピーク時と電磁波異常ノイズ発生ピーク時は一致していませんでしたが、両者の関連は否定できません。しかし、もっと面白いことに、地震前に電磁波異常ノイズが発生し、しかも雷も発生するという例は多いのです。地震・雷なんとやらといわれますが、地震発生直前には大気中の電場も変化し雷も発生しやすくなるという可能性すら考えられているのです。]

 前回もみたように、地殻底にも火山雷のような放電現象があるとすれば、それが上空における雷を誘発したりすることもあるだろう。逆に言えば、上空の状態を知ることにより、地殻底の電磁気的状態を探ることが可能であるかもしれない。このことは既に、上田誠也氏を初めとして、多くのグループが研究中のようである。

 このシリーズの「その3」でも触れた「地震予知への挑戦」という講演会においては、鴨川仁氏(東京学芸大学・教育学部・物理学科 助教)が電離圏の電子状態の変化と地震との関連を解説している。

[地震が起きて大気が揺さぶられ、8分位で高度200~300kmに0.1%ほどあるプラズマを揺さぶって、電子状態の変化がGPS電波の受信データに表れます。要するに波を見ているので、地震計と同じ原理で震央を計算できます。一番大きく揺れた場所は、地震計でも宇宙からの観測でも殆ど一致します。この技術は津波にも応用でき、スマトラ沖地震の時の津波も、きちんと見られました。GPS受信機はどこにでもありますから、貧しくて検潮計が置けない国や地域でも襲来がわかります。

以上の話は地震後の事で世界中で研究していますが、やはり地震の前が大事です。1970年代にロシアで「地震の前に電離圏が変だ」と言って研究が始まり、90年代になって統計的にも「やはり変化はある」という事になってきたのです。ただ電離圏が変化するなら地表にその原因となるものがあるだろうと考えて、ラドンなど色々調べていますが、未だに理由は分かりません。]

 もしもここに書かれている通り、震央も計算でき、津波にも使えるのだとしたら素晴らしいことである。地中に掘る穴は点でしかない。それに反して、上空で地震の発生を知ることができるようになれば、それは全世界的な広がりを持つ。日本の地震だけなら大きなものはそうめったに来るわけではない。しかし世界中の電離層を調べ、地震前に世界各地の地震を予告できるとしたら、トライアル・エラーを何度も繰り返すことができ、的中精度をどんどん上げていくことができる。

 それに、いちいち地中に穴を掘るよりは、空中の電波や電子を調べる方がはるかに経済的でもある。ただし、電離層における電子状態は、地震以外のさまざまな要因の影響を受け易いと思われる。地震だけの影響を抽出するのは、結構難しいかもしれない。電離層に変化を与える地表、もしくは地底の原因が分からないようでは、地震と電離層との関係を本当に理解したとは言えない。地中に穴を掘っての、地殻底の研究もおろそかにしないでもらいたいと願う。

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