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2012年5月13日 (日)

原発問題を考える その26

   次なる地震の恐怖 

 ドイツKDFテレビの記者による福島第一原発4号機の予想図は、小出裕章氏の描くものと同じである。 

[このような臨界が青空の下で起これば、日本にとって致命的なものとなるだろう。放射能はすぐに致死量に達し、原発サイトで働くことは不可能となる。そうすれば高い確率で、第1、2、3、5、6号機もすべてが抑制できなくなり、まさにこの世の終わりとなってしまうだろう。] 

 その後彼は、地震学者島村英紀氏にインタビューしている。福島原発に影響を与えるような地震の可能性を探るためであったろう。ところが島村氏の答えは、起こる起こらない以上に恐ろしいものであった。 

[計測している加速度が、これまでの予測よりずっと大きなものが記録されてきています。日本ではここ数年、千以上の特別測定器を配置して調査してきましたが、それで想像以上に地震波が強まり、速度も増していることがわかったのです。] 

[(原発の設計計算によれば)将来加速度300450ガルの地震が来ることを想定しています。……しかし私たちの調査では、最近の地震の加速度がなんと4000ガルまで達したことがわかっています。想定されている値よりずっと高いのです。] 

 4000ガルということで思い出した。2008年の岩手・宮城内陸地震の時、この4000ガルという言葉がニュースになったのである。直下型地震としてはマグニチュードが大きく、M7.3の兵庫県南部地震とほぼ同じほどもあった。日本地図を出して、震源地を調べたりもした。今ウィキで調べると、マグニチュードは7.2、この時の4022ガルは観測史上最大で、ギネスブックに認定された、ともある。 

 ガルとは加速度の単位で、秒速が毎秒1センチずつ早くなる場合を1ガルとしている。このガルという名称は、ピサの斜塔の屋上から重さの違う2つの球を落とす実験で有名なガリレオに因んでいる。空気抵抗がないとした場合、それらの球は1秒後に980センチ下、数秒後にはさらに980センチずつ加速して落ちているはずである。つまり、重力の加速度は980ガルと表わされる。 

 したがって、上下方向に980ガル以上の揺れがあった場合、地上に置いてある物も飛び上がってしまう。上述の地震の場合、4022ガルというのは縦横両方向の揺れを合成したものである。そのうちの上下方向の加速度だけでいうと3866ガル、重力加速の4倍もある。宇宙飛行士の乗るロケットの初速は3000ガル程度と言われているから、地震の加速度の方がそれよりも大きいということになる。 

 原発の耐震基準は島村氏も指摘している通り、それよりははるかに小さい。ドイツテレビのハーノ記者は、最後に東電の災害対策部責任者にインタビューして、この4000ガルの問題を問いただした。 

[「でも地震学者たちは4000ガルまでの地震加速度が測定されていて、これだけの地震に耐えられるだけの原発構造はないと言っています。半壊状態のフクシマの原発の真下でそのような地震が来ても全壊することはないと、なぜ確信がもてるのですか?」] 

 驚いたことに、インタビューを受けていた二人の東電職員は、専門家ならば知らぬはずもない4000ガルの加速度について二人とも知らなかった。困惑した彼らの表情を見ていて、原発そのものの将来がなおのこと不安になった。

 

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