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2012年3月 2日 (金)

地殻底のマグマ層 その27

  地震予知を考える

 たびたび書いてきたように、私は、地震予知は可能だ、と思っている。しかし、当たるかもしれない、当たらないかもしれない中途半端な予知ならば、予知などはできないほうがかえって良い、とも思っている。

 我々が知りたいのは、地震の正体である。地下で何が起こっているか?を知りたい。そしてその結果として、地震予知が出来るようになる、というのが辿るべき道筋である。科学者が地震の予知を主体としてしまうと、いかがわしい予言者たちの権威付けのために、予知にかかわった学者の名前が、利用される危険性もある。

 しかし、明らかな地震の前兆が存在するのも確かである。「地震予知を考える」(茂木清夫、岩波新書、1998年)に出ている日本海中部地震(1983年5月26日、震源は秋田・青森西方沖海底、M77)の場合などが、まさにその例である。

 その地震に先立ち、東北地方の各地で群発地震が立て続いた。学者たちが「東北地方の北部では応力が高まっている。何か異常だ」と話し合ったほどの頻度であったらしい。

 そして火山も活動した。秋田・山形との県境にある鳥海山は、ほぼ200年ぶりに眠りを覚まし、1972年に小噴火した。また1977年には、北海道の有珠山が噴火した。

 有珠山の噴火活動が始まった後しばらくして、日本海中部地震の震源域は地震空白域となる。地震空白域というのは、前震活動がぴたっと止まり、本震の発生まで、空白状態になっている地域のことである。地震の前兆の一つと考えられているが、実際の観測上は、それが前兆なのか、地震が終息した状態にあるのか、判断に迷うところかもしれない。

 そしてその頃、青森・秋田両県の、日本海沿岸部が隆起する。その開始期は、日本海溝で起こった宮城県沖地震(1978年、M74)と同期している、と茂木清夫氏は見る。

 こうした前兆の多くが、私の仮説からは統一的に解釈される。日本海中部地震の震源のあたりで、地殻底のマグマの大動脈がふさがれたため、鳥海山、有珠山などから、マグマが噴火の形であふれた。そのあと函館や東北地方北部で群発地震が起こるようになり、さらに、日本海沿岸部が隆起し、地震空白域が出来た。茂木氏の図を見ると、宮城県沖地震は、火山活動の後、隆起や群発地震の直前に起こっている。隆起や群発地震のの引き金となったのは、宮城県沖地震であった可能性も強い。

 つまりここには、火山―地震―隆起・群発地震の系統的な関連性が存在している。それはまた、地震の正体を探る重要なヒントでもある。

 これを、日本海に北米プレートの境界を仮定して解釈しようとするのは無理がある。太平洋プレートの沈み込みは、列島を引きずり込み、沈降させたはずである。なぜ北米プレートの場合、隆起なのか? もしも太平洋プレート、北米プレート、フィリピンプレートなどが日本海や日本列島近くで会合しているのだとしたら、渦、もしくは乱流が発生するはずである。列島地下において、絵に描いたように整然と下降していく地下の姿は、実験により証明されなければならない。

 

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