金森博雄教授と再会2011年 その2
円高是正のためのアイデア
午後1時ごろからは、私のワイフも加わり、食事をした。寿司の出てくるのが一皿づつ時間をかけてだったので、おかげでゆっくりと雑談を楽しめた。
長男次男二人ともコンピュータ関連の仕事をしている。一人はマイクロソフト社で20数年働いているらしい。奥方は、カリフォルニア工科大学で生化学を学び、博士号を取っている。現在ではある研究所で、ネズミの脳を使っての研究を行っているらしい。
外交官の父親が赴任していた関係で、中学時代を英国で過ごしたという。高校は聖心、大学は東大で英文科を卒業。しかし本来は理工系に向いていたため、金森博雄教授と結婚してパサデナに住むようになってから、大学に入り直した。子育てしながら大学で研究する主婦の話を新聞で読んだりしないではないが、親が近くにいて、子供を預けられたから、である場合が多い。金森夫人の場合、どのようにして子育てと、実験動物の世話付きの研究を両立できたのか、大きな謎に思える。1993年のロサンゼルス・タイムズ紙に書かれた段階で、息子の一人はカリフォルニア工科大学、もう一人はスタンフォード大学で博士号を得た、とある。つまり、子育ての方も手抜きしてなかったわけだ。
ネット上の動画で、京都賞受賞時のメッセージが見られる。
また、「波に魅せられて」という講演原稿も、PDFで読める。
023K2007_KP_LE_B_jp.doc 1 波に魅せられて
そのどちらでも同じことを言っている。「自分の好きなことを見つけて研究しなさい」。どうやら、ご家庭でも先生の方針を忠実に守り、妻子それぞれが、地球物理学以外の好きな分野を見つけたようである。
そうした話題の他に、日本の国についても話し合った。海外に住んでいる我々には、祖国の将来が案じられてならない。風船のように膨らみきった国の借金は、いつ音を立てて破裂するのだろうか?
「日本滞在中に出会う普通の人たちは、非常に優れていて立派なのに、国全体となると、どうしてあんなに頼りないのでしょうかね」とは金森教授の慨嘆(がいたん)である。
私も円高について、最近思いついたばかりのアイデアを語った。
中国が、人民元のレートを安く設定し過ぎると非難されている。その正否は別として、国力さえあれば、為替レートを国が決めることはできるはずである。
急激な円高になったりすると、日銀が介入して円を売ってドルを買ったりする。経済のことはよく分からないが、あれって、国が損することにはならないのだろうか?
変動相場制をやめて、固定相場制にすればよい、というのが私のアイデアである。もちろん、1ドル=360円の昔に戻ることは不可能だし望ましくもない。しかし1ドル=80円とか1ドル=100円とかにだったら、まんざら不可能ではないと思う。その上で、半年とか1年に1度、変動相場制に短期間戻し、市場の実勢に合わせればよい。狂った時計を合わせるようなものである。
円高過ぎると輸出産業は海外に逃げていき、国内の産業が空洞化するといわれる。何とかしなければ、という思いから、ついつい余計なことを考える。どうせ実現することはあり得ない、いや、多くの人に聞かれることすらあり得ないだろうが……