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2011年6月 8日 (水)

地殻底のマグマ層 その14

  40数年当たったことなし

 火山の場合、マグマが地下にあることは確実であり、群発地震だの山体のふくらみなどの前兆がある。それですら翌日の噴火さえ予知できないとすれば、正体が地下のどこにあるかさえ定かでない大地震の場合、予知できないのは当然である。

 島村英紀氏の「公認『地震予知』を疑う」(2004)には次のようにある。  

[しかし大きな問題は、この種の報告された前兆のすべてが、じつは地震後に報告されたものであることなのだ。地震予知計画が1965年に始まって以来、現在までに約40年経ったが、一度も地震予知に成功していない。1991年段階で前兆が790例あったといっても、そのすべては事後の報告なのである。]

 その後も当たったという話を聞いていないから、約40年ではなく、40数年、地震予知の当たったためしがない、ということになる。噴火予知の方は、有珠山での成功などもあり、皆無ではない。

 この本には、地震予知失敗の数々や、行政の失策などが数多くレポートされている。しかし問題はもっと深いところにある。私に言わせれば、プレート・テクトニクス説それ自体が問題なのだ。そしてそのことを、地震の専門家自身が最もよく分かっているはずだ、と思う。

 ロマプリータ地震(1989年10月、サンフランシスコに大きな被害を与えた地震)以来私は、専門家による数多くの驚き(まったくのところ、予期せぬ場所、予期せぬ起こり方の奇妙な地震が多かった)の記事を読んできた。

 南カリフォルニアのランダーズという町で、前世紀中のカリフォルニア州における3番目に大きな地震(M 7.3)が起きたときに、地震の翌日のロサンゼルス・タイムズ紙(1992年6月29日号)は、「地震学は不正確な学問であり、新たに大地震が起きたときには、その跡に、数多くの新説が生まれる」と、いみじくも書いている。その言葉から、インタビューを受けた学者たちの困惑が伝わってくる。

 ロマプリータ地震の断層は、地上に現れなかった。震源がサンアンドレアス断層近くであるのに、世界的に有名なその断層はびくとも動いていない。

 ロサンゼルス郊外のノースリッジで起こった地震の場合にも、まったく断層が見当たらず、「ブラインド・スラスト(目に見えない突き上げ)型断層」と名付けなければならなかった。

 サンアンドレアス断層を掘削した結果、歪みの蓄積は証明できなかった。

 地震学者ともなると、このような情報には精通しているはずである。プレート・テクトニクス説から導き出される予測が必ずしも当たらない、とは誰よりも知っているのだ。しかし彼らが、こうした学説に不利な反証を明らかにすることはめったにない。

 そうしたことからすると、「公認『地震予知』を疑う」で、地震学の問題点を明らかにした島村英紀氏は、勇気がある。

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