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2011年6月18日 (土)

地殻底のマグマ層 その16

  活断層調べて何が分かるのか?  

 1995年の阪神淡路大震災の後、「新編 日本の活断層 分布図と資料」(東京大学出版会、1991年)という専門書が飛ぶように売れた、とニュースで言っていた。自分の家が活断層の上に建っているのではないか、と心配した一般人が買ったらしい。本体価格だけで3万5千円もする本を、一度見た後、どうするつもりなのだろうか? 町の図書館や古本屋に流れたことだろう。ニュースを聞いて大笑いしてしまった。

 そもそも活断層の地図など、一般人が見て理解できるものではない。それに、分かったとしても役に立つものではない。島村英紀氏の「公認『地震予知』を疑う」のまえがきを読めば、活断層を恐れることのばかばかしさが歴然としている。

[たとえば、琵琶湖の西岸に沿って走る活断層(過去に地震を繰り返し起こした断層)である「琵琶湖西岸断層帯」での地震発生確率は30年以内に0.099%、50年以内には0.220%とされている。この確率は活断層診断の結果だ。活断層診断は、推進本部が目玉にして多額の費用を投入している事業である。

この活断層の長さは59キロ。活断層は長いほど大きな地震を起こすから、この長さだとマグニチュード7.8の大地震を起こすとされている。もしこの地震が起きれば、阪神淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震(1995年)よりはエネルギーが5倍以上も大きい地震になる。京都市内でも大被害が出るだろう。]

[ちなみに阪神淡路大震災(1995年)が起きる前に、この大震災を起こした活断層である野島断層で地震が起きる確率は、30年以内という条件で1%以下だった。]

[なお、琵琶湖西岸断層帯で、今後300年間に地震が起きる確率は260%と発表されている。常識的な言葉づかいからいえば、これは300年たっても、起きるか起きないか、どちらとも言えないということである。]

 それだけではない。被害の大きさと活断層とが一致してない場合の方が多い。阪神淡路大震災の時、一番被害の大きかったのは、震度7(激震、福井地震後に新たに制定された激震のレベルが適用された初めてのケース)の帯状の地帯だったが、そこは活断層帯ではなかった。六甲山麓の活断層群はまったく動いた形跡はなく、それよりも南東側で平行している幅2キロほどの一帯であった。

 1989年10月17日のロマプリータ地震の後、近くにある米国地質調査所の売店に行き、面白いものを見つけて買った。サンフランシスコ近郊の揺れの激しさを予測した地図である。その地図によれば、断層のすぐ脇の辺りが一番激しく揺れる地帯に指定されている。サンフランシスコの市内に、そのレベルの予測された地帯はない。

 ところが実際に地震が起こってみると、それとまったく逆の結果が出た。サンアンドレアス断層はまったく動かなかったのである。そしてその断層の近くで、ニュースになるほどの大きな被害を受けた所はなかった。

 しかも、島村氏によれば、1000年に一度ずつ大地震を起こす活断層は、活動度が高くて、地震危険度が高い活断層だそうだ。そうだとすると、一般人の感覚からすれば、めったに動かない活断層を調べて何になるのだろう?と思ってしまう。もしかすると、活断層を恐れるように仕向けていること自体が、問題なのかもしれない。

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