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2011年6月23日 (木)

地殻底のマグマ層 その17

  断層は地震の結果であり、原因ではない

 松田時彦氏の「動く大地を読む」(岩波書店、1992)には、次のようにある。

[その後長い間、日本ではマグマや熱の作用が重視されて、断層は地震の原因ではなくて、結果であるとされてきました。それが、1960年代になると、地震波にたいする理論的研究や観測がすすみ、地震計に記録された土地の動きは、断層が動いたと考えたとき最も合理的に説明できることがわかりました。1964年の新潟地震はそのことが具体的に示された日本の最初の大地震でありました。]

 別の言葉による引用をもう一つ。

[この(弾性反発説の)考えは、それから実に50年もの長い間、日本の地震学者からはほとんど無視されてしまいました。1960年代の直前まで、図解入りでこの説を紹介している地震学の教科書は日本にはほとんど全くありません。唯一の例外は地震研究所の石本巳四雄先生の「地震とその研究」(1935)という本です。しかし、石本先生はこの考えを否定しています。おもな理由は、岩石は長時間ゆっくりと作用している力にたいしては、バネの反発のような弾性的な動きをする能力を失い、粘土を押したときのように、力が除去されても、そのままの形に留まると考えたのです。]

[石本先生はレイド(ヘンリー・リード)さんとはちがって、断層は地震の結果二次的にできたものであり、地震の原因は別にある(地下のマグマの流動など)と考えたのです。]

 こうしてみると、地下のマグマの流動こそが地震の原因であり、断層はその結果である、とする私の考え方は、日本の地震学史において、むしろ正統派だったわけである。

 地上の断層が地震の原因でないのは、彼らとて納得するであろう。この本にも目撃証言があるとおり、地上の断層は、地震を体感してから後に出来たりする。したがって、断層といっても、地表に現れているのは地震の後、つまり結果であるのは間違いない。

 そこで、震源のある地下に断層を仮定しなくてはならない。しかし、それはあくまでも仮定に過ぎない。そのような深い所に、本当に地上で見られるような亀裂が生じ得るものなのか、直接的な実証はもちろんのこと、論理的にもいろいろな困難がある。

1)  深くなればなるほど、高温高圧により、可塑性が増えてくる。700キロもの半流動性のマントル内で、地震を起こすための亀裂など、できるとは思えない。

2)  地上の正断層、逆断層の断層面は、斜めになっている。それを地下5キロ、10キロと延長していくと、震源は、断層の直下ではなくなる。つまり、地上の断層と震源地とは、この意味からも違ってくるはずなのだ。

3)  沈み込むプレートによって押される力は一定のはずなのに、地震の大きさが違ってくるのは何故か?

4)  プレートの力の方向は一定である。しかし、地上の断層の向きは多様である。車や機械のようなギアがあるわけでもないのに、プレートの動きがどのように、違う向きの断層へと伝達されるのか?

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