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2011年5月12日 (木)

東北地方太平洋沖地震 その12

  島村英紀氏vs気象庁

 たぶん4月初めの頃だったと思うが、島村英紀氏のサイトを訪ねてみたら、講演会で話したという伝聞ではなく、本人の言葉で、気象庁に対する疑惑の数々が書かれていた。そのさらに後になったら、北海道新聞に載った記事も出ていた。

 それらを読むと、前回書いたマグニチュード改定の経過が非常に良くわかる。何時に改定されたのか、私も記憶があいまいだったので、参照させてもらった。気象庁が出した津波の予想は小さ過ぎた、という指摘はもっともである。私もこのシリーズの1回目で書いた通り、アナウンサーの読み上げた数値には疑問がある。

 今までの津波警告が外れすぎ、「オオカミ少年」効果をもたらしてしまっていた、という指摘も正しいと思う。「津波が来るぞ~」という警告に人が耳を貸さなくなっている、というわけだが、それについては、彼の著書「日本人が知りたい地震の疑問66」(サイエンス・アイ新書、2008)の中に詳しい。その本の中には次のようにある。

[津波予報がオオカミ少年にならないための方法がないわけではありません。そのためには、日本列島の周囲の海底に海底津波計を配置することが必要です。津波計は震源の近くで、津波がまだ沖合いにいるときの高さや波形を観測する装置です。

これらのデータがわかれば、発生したその津波が陸に近づくにつれてどう振幅が大きくなるか、という増幅の倍率はすでに知られていますから、陸を襲う津波の正確な高さが予測できることになるのです。]

[津波予報が出ても住民が逃げてくれない、と行政や気象庁は住民の防災意識の低さをなげくことがよくあります。また、警報のほうが実際の津波よりも大きければ、人々が逃げなくて大災害になったとしても、お役所の責任は逃れられるでしょう。

しかし、津波予報を信頼されるものにすることこそを、心がけるべきなのです。]

 批判するだけで、解決策を提示しないとすれば、小言幸兵衛(落語出てくるキャラクター)かガミガミ女の類に過ぎない。批判や反省、もしくは分析が重要であるのは言うまでもないが、それ以上に重要なのは、「では、次にどうしたら良いか?」という視点である。この場合のように、海底津波計という解決策が与えられているのは素晴らしい。

 しかし、待てよ、としばらくして思った。海底津波計が現実にあるものならば、津波多発地帯の三陸沖に、既に設置されていそうなものである。何故今回そのようなものが活躍していなかったのだろうか? 

 インターネットで調べてみたら、「三陸沖 光ケーブル式海底地震・津波観測システム」というサイトが見つかった。東大地震研究所と東北大などとが共同で、釜石湾東方の沖合いに3台の地震計と2台の津波計を置いて、光海底ケーブルで結んだものだそうだ。その光ケーブルは、釜石市八木浜の陸上局に引かれ、情報がそこに集められる。

 いつ設置されたのかをさらに調べていったら、1995年、16年も前のことであるようだ。それでいながら今回のような肝心な時に、さほど役立ったようでもない。いったい、どこに問題があったのだろうか?

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