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2011年5月24日 (火)

地殻底のマグマ層 その11

(ここで再び、中断していた前のシリーズに戻る。例えば地震空白域説についてなど、既に扱ってしまったが、あえて、大きくは書き変えない。断片的に読まれるかもしれない「ブログ」というものの性格上、何回もくり返した方が良い、と考えている。)

   

  「地震予知」を疑う

                                             

 島村英紀氏の「地震は妖怪 騙された学者たち」を読み終わった段階では、月並みな地震関係の本とはひと味もふた味も違うことに感心していた。

 ところがその数年後に出た「公認『地震予知』を疑う」(柏書房、2004年、後に、「『地震予知』はウソだらけ」というタイトルで文庫本化されたらしい)という本を読み、びっくりした。プレートによる説明などからして、それまではガチガチの体制派か、と思っていたのに、イメージが違った。

 2005年に読み、そして昨年11月にもう一度読み直した。凄い力作である。学者であると同時にジャーナリストである、と思った。

 「予知が出来る」というのも「出来ない」というのも、同じプレート・テクトニクス学派であることは間違いない。一般に、プレート学派に対して、地質学者の一部は強烈に反対したりするものの、同じプレート学派内で反対し合うことはない。

 例えば、アメリカの科学雑誌“Discover”1992年10月号に、激しい議論が出ていた。

 「太平洋沖地震に思う その4」の中で既に述べたように、地震空白域説というのがある。プレートの境界に起きる地震は、一定の領域で巨大地震が起きた後は、そこの歪みが解放されるため、その同じ場所で当分、大地震が起こることはない。したがって次に大地震が起こる候補地は、最近に地震の起こったことのない空白域のはずである、というのがその説の骨子である。

 ところがそれに対して、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の地球物理学者、デイヴィド・ジャクソン氏が疑問に思った。「本当にそうだろうか?」というわけで調べ直してみると、地震空白域説で安全とされた地域に、危険とされた地域の5倍もの地震が起こっていた(1979~1988)そうである。

 それに対する反論がプレート・テクトニクス学派の別の学者から出され、更なる反論が再び、ジャクソン氏から出された。

 その後、私がアメリカ地球物理学会のサンフランシスコ大会に出たとき、たまたまデイヴィド・ジャクソン氏の名前を講演者の中に見つけたので、その会場に行ってみた。白熱した議論が聞けるかもしれない、と思ったからだが、まったくそんなことはなく、テーマも地味なものだった。

 反論があるとはいっても、同じプレート学派同士、議論がしつこく繰り返されるようなことはないのだ、と私はその時思った。

 ついでながら、その後の地震空白域説に対する私の疑問をここに書いておく。インドネシアでは、最近巨大地震が立て続けに起こっている。あれなどは、その説の反証になっているように思われるのだが、どんなものだろう? チリにもかなりの大地震が起こったみたいだし、デイヴィド・ジャクソン氏の方が正しいのではないか、と思う。

 この稿を書いた頃にはまだ、確信を持てなかったので上述のように書いたが、スマトラ島やチリにおいて、巨大地震が起きた地域で、その後になって何回も大きな地震が起きているのは確かである。それを知れたのは、今回の3-11大地震の後、東大地震研のウェブサイトによってである。それについては、先にいってもっと詳しく書くつもりである。

 こうしてみると、地震空白域説が間違いなのは明らかである。そもそも、その説のもとになっている、「歪みが恒常的に蓄積している」というプレート説の主張そのものに問題があるのだ。

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