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2011年5月16日 (月)

東北地方太平洋沖地震 その13

  遠地津波にも備えよ

 私は最初、前回書いた「光ケーブル式海底地震・津波観測システム」を知る前に、どうやったら津波を検知できるか、自分なりに考えてみた。津波による衝撃波が海水面に達するのを知るには、海水面にブイを置き、そこから水深の違う2つの水圧計を垂らせばよい、と考えた。それにより、衝撃波の到達時間の違いや水圧の瞬間的な強さから、津波の強さ、高さを割り出せる、と思った。

 しかしブイから垂らすのでは、ブイが海流によって流されてしまう。では、海底からアドバルーンのように2つの水圧計を浮かせばよい。しかし、衝撃波は上ばかりではなく、横にも広がるはずである。とすれば、現在既にある津波観測システムと原理に違いはない。

 本来ならば、島村英紀氏が書いたように、「津波がまだ沖合いにいるときの高さや波形」を正確に割り出せたはずなのである。それなのにどうして、10~15メートルを越える津波を正確に予測できなかったのだろうか? あの時は、岩手、福島3メートル、宮城6メートル、と予測していた。印象としてはまるで小さい。また、その後の余震においても、空振りの津波警告を出し続けてきた。不思議である。

 仮に、このような津波観測システムが、将来非常に正確なものになり、信頼置けるようになったとしても、チリ地震のときのような遠地津波には役立たない。地震という前触れもなく、突然に津波が襲ってくるので、地震・津波のコンビネーションには慣れている土地の人たちも対応しそこなう。気象庁の発する警告だけが頼りである。

 1960年、観測史上最大M9.5 の巨大地震がチリで起こったとき、三陸沿岸には22時間後の未明に到達した。死者139名、三陸沿岸における波高は6mにも達した。「地震と火山の100不思議」(神沼克伊他、東京書籍、2004)には次のようにある。

[日本各地の地震計でもこの地震は記録され、チリに大地震が発生したことはわかっていました。この時点で日本には翌朝50cm程度の津波の襲来があるかもしれないと予測されました。発生から18時間後にはハワイに津波が到達して、ハワイ島のヒロで死者61名という大災害が起きていたのです。その情報は気象庁にも届いていたようですが、結局「津波情報」は津波の第一波が到達する前には発せられませんでした。チリで起こった大地震の過小評価とその先入観による緊張感の欠如が津波による被害へとつながったのです。]

 これは怖いことである。情報を知っていながら、担当官が遠地津波の怖さをよく理解していなかったために判断を誤り、三陸沖の住民が、「寝耳に水」の津波に襲われて被害を受けた、ということになる。

 GPS などの機器のある現在、海表面の高さをリアルタイムで測ることはそれほど難しくない、と思えるのだがどんなものだろう? その上で、津波が刻々と押し寄せてくる様を、よく見かけるシュミレーションの動画のような映像にして放映すべきである。そうすれば、ただ口頭でより緊迫感があり、警告を無視する者は少なくなると思う。

 ついでながら、近海で起きる津波に対しても、そのような映像を何種類か作っておき、海底津波計などからの観測値を入れるだけでよい、というようにしてあれば、同様にして、アナウンサーの警告の繰り返しだけ、よりは効果を持つことだろう。

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