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2011年3月 9日 (水)

地殻底のマグマ層 その6

  誘発地震と地熱発電

 真山仁氏の小説「マグマ」を読みながら、不思議に思ったことがある。地下に水を注入したら、地震が起こるはずなのに、そのことにはまったく触れていない。地震学者の間で常識のように知られているデンバーでの、注入された水と地震との関係は、地熱の研究者の間で問題にもなってないみたいである。

 圧力が問題なのだろうか? デンバーの場合には、注入する水に圧力をかけていたという。この前引用した島村氏の文章(「地震は妖怪 騙された学者たち」講談社+α新書)の先には、圧力と地震の数との相関関係が書いてある。

[そればかりではなく、注入量を増やせば地震が増え、減らせば地震が減ることも分かった。1965年の4月から9月までは注入量が増え、最高では月に3万トンと、いままでの最高に達したが、地震の数も月に約90回と、いままででももっとも多くなった。液体を注入することと、地震が起きることが密接に関係していることは確かなようであった。

一方注入する圧力は、時期によって自然落下から最高70気圧までのいろいろな圧力をかけたが、圧力が高いほど地震の数が多かった。]

 地熱発電の場合には、取り出す熱水の方が主であり、注入する水は従である。したがって、圧力が岩盤にかけられるわけではない。

 もともと私の仮説において、地殻底の圧縮されたマグマ層を動かす原動力の一つは、冷却、もしくは熱である。イメージとしては、鉄板の上の1滴の油である。温度が低いと、その油滴は小さく固まろうとする。温まると広がる。

 つまり、温暖な時代には、地殻底のマグマ層は、大陸の周辺部、もしくは海洋底へと拡散する。ところがそのような時代が長く続き、放熱すると冷えて、マグマ層は大陸の中心部へ集まろうとする。

 そしてもう一つの原動力は、大陸の重みである。マグマ層が放熱して冷却すると、固化したマグマ層が下から、あるいは噴出して上から加わり、大陸を厚くする。そのために、厚くなった大陸の重みが、マグマ層を今度は周辺部へと押し出す。鉄板の油滴の上に、ガラス板を載せたようなものである。

 冷却(あるいは熱)と大陸の重み、という二つの原動力によって、地殻底のマグマ層は、世界中の大陸や海洋底下を動き回る。大陸下か、海洋底下かのどちらに、より多くのマグマ層があるかによって、地球史の時代の特色が決定される。

 このようにして絶えず動き回る地殻底のマグマ層は、その行く手を阻まれた時にのみ、そこに歪みが蓄積され、やがて岩盤の破壊が起こり、その時に地震が発生する。あるいは、「地震は、地殻底における横向きの噴火だ」と言ったらもっと分かり易いだろうか。

 というわけで、デンバーの、水と地震の話を初めて読んだとき、注入された水のもたらす温度と圧力の変化が、地震の原因だ、と思った。しかしこうして、冷水を注入する地熱発電で、地震が誘発されないのだとしたら、地震の主因は、温度ではなく圧力である、とみるべきかも知れない。

 高温岩体発電ではそのものずばり、地下の岩盤に冷水を圧入し、ひび割れを人工的に作るという。その際に、地震は起こらないものなのだろうか? デンバーの場合に比べ、圧力が小さいのだろうか? それとも、この場合にも圧力を抜く別のパイプがあるからだろうか? 

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