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2011年3月23日 (水)

地殻底のマグマ層 その9

  地殻底を調べてほしい

 近頃日本では、「地震予知はできない」という考え方のほうが、主流派になってしまったようである。その最大の理由は、「出来もしないのに、予知が可能であるかのように主張して、巨額の予算を獲得するのは許せない」ということなのだろう。

 しかし、地震予知に向かっていた予算を、「地球内部の姿を知るための、地震波の研究に使いたい」ということであれば、疑問がある。

 ここで「地球内部」というのは、マントル以深の、人類が決して到達できない場所のことを私は意味している。そのような場所を地震波によって調べても、本当に正しいのかどうか、検証の方法がない。つまり、反証も出来ない分野なのである。現在、地球内部トモグラフィーによって、地球内部の姿が、医療におけるCTComputer Tomography)スキャンと同じように、3次元的画像として映し出せる、とされている。しかしながら、それら両者のトモグラフィーの間には、決定的な違いがある。医療用の場合、患者の内部を切って確認できるのに、地球の場合には、永遠に不可能である。

 しかも、地球内部トモグラフィーに使われる地震波の解釈には、疑わしい点もある。地震波が、本当に地球内部の姿をそのまま反映しているかどうか、今の段階では確言できないはずなのである。それについては、次回もっと詳しく話す。

 したがって、「地球内部を地震波で調べる」というだけならば、社会に有用な結果がもたらされるとは考えられない。本来は、趣味的な「オタク」の世界でしかない。地震予知のほうが、まだしも社会に役立つかもしれない可能性を秘めている。事業仕分けされるべきはどっちか、言うまでもない。地震波による地球深部研究からこそ、予算が削られなければならない。

 ただし、「地球深部」を地殻底、もしくはマントル上部と限るならば、そこは、検証可能性を持っている領域である。そして、社会に大いに役立つだろうし、有用な情報を数多くもたらしもするであろう。

 例えば、雲仙岳が噴火した時、地震波の観測によれば、明らかに、マグマ溜まりが地底を移動して、火口に向かった。そのようにしてマグマが地底に実在する間に、人工地震によって、そうしたマグマ溜まりを特定する実験を行うべきである。そうすれば、人工地震とマグマ溜まりの対応が可能となる。

 それは、知的な興味だけではない。地熱発電とのからみで、数多くの実用的な情報も得られるはずである。

 地熱発電では地震が起こらない、というのが事実であるとすれば、デンバーのような誘発地震との違いは何であるのか? 地震学者、火山学者がこぞって研究対象として欲しい、と願う。

 地表にもはや秘境がなくなり、惑星空間も、深海底もほぼ探求されてきた現在、地殻底こそは、最も知られざる秘境であるだろう。しかもそこを知ることは、火山や、地震の本質に繋がる現実的な利点をも持っている。

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