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2011年3月18日 (金)

地殻底のマグマ層 その8

  PT説は「あと出しジャンケン」

 大陸移動説、プレート・テクトニクス説を例にして、理論の体系について考えてみよう。

 大西洋両岸の大陸は、海岸線が相似であることや、化石や地層のデータなどから、「それらはかって、一緒にくっついていた」という仮説が生まれた。

 その後、「大陸は移動する」「マントルには対流がある」「大陸のみならず海底を含む地殻全体が、プレート状になって水平移動する」などが大前提(公理)として認められ、それらから数多くの理論(定理)が演繹的に導き出される。

 それは、3つの公理から階層的に数多くの定理が導き出される、ピラミッド型の幾何学の体系と同じである。

 そのようにして導き出された理論(定理)には、例えば、「プレートの移動によって、断層にはストレス(歪み)がかかっている」というようなものがある。そこから、「ストレスがあれば、摩擦により、そこに熱が発生しているはずだ」という予測、あるいはモデルが生まれる。

 その予測に基づいて、カリフォルニア、カホン峠で深い穴が掘られた。そこは、有名なサンアンドレアス断層が南北に走っているところであり、断層の西側は少しづつ北上していて、いまにロサンゼルスの一部がサンフランシスコに接近する、と言われることもある。

 しかし、そこに期待されていた熱はまったく発見されなかった。私がその観測とその結果を初めて知ったのは、友人から送られてきたニューヨーク・タイムズ紙1992年4月14日号の記事によってであった。いま、その記事を引用した私のニュースレターを読み返してみると、「断層を動かなくしている接点であるアスペリティ(表面のざらざら)が外れた時に地震が起こる」という定説に反する事実がいくつか出ている。例えば、1989年、サンフランシスコに大被害をもたらしたロマプリータ地震のとき、震源近くのサンアンドレアス断層はまったく動かなかった。そればかりか、その余震を調べると、それらは断層に平行であるどころか、統一性もなく、勝手気ままな方向に向かっていたと言われる。

「サンアンドレアス断層に歪みが溜まっていない」という観測事実は、プレート・テクトニクス説から導かれる予測に対する反証であるはずである。ところがそれは、「謎(なぞ)」と言われるだけで、PT説の存在そのものをおびやかす「反証」、とは見られていない。 

 では一体、どのような観測事実が見つかれば、PT説は成り立ち得ないのか? PT説に反証性はあるのか?

「ヤスーンという天体が落下して、大陸になった」という私の仮説には、反証性がある。その仮説からは、「地殻底には、いまも圧縮されたマグマ層があるはず」というもう一つ別の仮説が導き出されるため、実際に地殻底までの穴が掘られ、そこにマグマ層がなかったとすれば、私の仮説体系全体が否定される。

 ところが、PT説においては、予測に反して出てきた「反証」をすべて「謎」として処置してしまうため、説明だけの体系になってしまっている。つまり、既知の現象を説明するばかりで危険を冒すことも、スペキュレートすることもない。それでは、相手の手を見てから出すジャンケンと同じである。プレート・テクトニクス説は、「あと出しジャンケン」なのである。

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