カテゴリー「上田誠也教授」の28件の記事

2013年4月28日 (日)

地震は雷のようなもの その12

  地底こそは最後の秘境

 このようにして、キルギスの電流流し込み実験、余震とは何か、雷、スプライト、地震や火山の水平移動、横向きの噴火、火山雷、電離層における電子状態、電磁波の伝播異常などと見てきたが、その結果として知りたいのは地下の状態である。この100年ほどの間に、人類は数多くの秘境の姿を明らかにしてきた。そしてそれは宇宙の果てにと及び、深海をも目の当たりに見せてくれるようになった。しかし地底は、今もって秘境のままである。そここそは残された最後の秘境なのだ。

 地底の姿は、プレートテクトニクス説によって描かれてはいる。しかしそれらは絵に過ぎない。絵だけなら幽霊も描けるし、いるはずのないタコのような火星人すら描ける。コンピュータ・シュミレーションも、入れ込む変数しだいではどのようにでもできる。我々が知りたいのは、実験もでき、検証も可能な、科学的な姿である。

 現在、宇宙線から発生するミューオンという素粒子を使って、火山を透視する研究が行われているらしい。しかし宇宙線の来る方向は上方からなので、地底深部の姿までは見ることができない。そこで、地底の姿を知る手段として今の段階で最も有望そうなのは、地電流だと思う。

 上田誠也氏の「地震予知はできる」(岩波書店 2001年6月)には、次のように書かれた箇所がある。

[SES(地震電気シグナル)が100キロメートルも伝わるという初期の結果が発表されたときに、そんなことは不可能だという批判がおきた。100キロメートルも伝播するのに要する電流のエネルギーは膨大なもので、話にならないというものだった。これは常識的には受け入れやすい議論だったが、実は不当なものだった。なぜなら、この議論では電源(つまり震源)を発した電流が四方八方に伝わるとしていたからである。現実には、SESはごく限られたツボ地点にしか到達していない。だからエネルギーはそんなに要らないわけである。]

 地面の中は本来電波が通りにくいところだ、という大槻義彦氏の指摘も考慮すると、地電流というのは内部の地質条件などにより、また上田氏の上掲の説明により、かなり選択的な通り方をする可能性がある。逆に言えば、地中を流れる地電流を計測すれば地中の状態が分かるかも知れないし、地震の巣が見つかったりするかもしれない。

 例えば、できるだけ多くの計測器を日本中の地中に設置し、雷を地中に誘導するようにすれば、落雷地点から各計測地までの経路や時間などが分かり、地中の様子が具体的に描けるようになるかもしれない。

 もちろん、強力な電流の流し込みにより、日本の地下の姿を透視しようというこの試みは、素人の空想の産物に過ぎない。そのようなことが実際問題として可能であるかすら、私には分からない。しかしもしも可能であるとしたら、地震計以外にも、地震とは何か、に迫る強力な道具を得ることになる。

 もしかすると地震学の中に、「地電流地震学」とでも呼ばれるような、新たな学問分野が生まれることになるかもしれない。その時、キルギスの実験やVAN法は、そしてそれらの研究者らは、新たな学問へのパイオニアとみなされることになるであろう。

2013年4月22日 (月)

地震は雷のようなもの その11

  地震予知判定局の創設を

 そもそも上空の電磁気的な変異を本当に予知に使えるのだろうか? 録画しておいた「地震予知/上空に現れた謎の異変」(NHK「サイエンスZERO」)という番組を繰り返し見ているうちに疑問がわいてきた。そのきっかけは、服部克己教授が示した電離層異変の度合のグラフである。確かに3/11の3日前に電子数は異常に高まっていたが、服部氏の示すグラフではそれ以前の高まりの方がもっと際立っていた。それらは、太陽フレア(太陽表面の爆発現象)が原因の太陽風によるものだそうだ。

 2/5、2/15、3/1の後に3/8の高まりが来るのだが、後になればこれは太陽風によるもの、これは地震によるものと簡単に仕分けがつく。しかし刻一刻とデータを得ている時点で、観測者がそれをできるようには思えない。前回、衛星の軌道データを得られるのが3日後であるため、異常の検出はどうしても後追いになる、という服部氏自身の言葉を引用したが、太陽風の影響などを排除するためにもかなりの日数がかかるに違いない。

 となると、これもロバート・ゲラー氏が言う「後知」の一種であるに過ぎない。彼は「日本人は知らない『地震予知』の正体」という著書(双葉社 2011年8月)の中で、以下のように語っている。

[30年間に790件も前兆現象をキャッチしながら、予知に成功した例は言うまでもなく皆無なのである。なぜならこれらの現象は、すべて地震が起きたあとになって、「あれは前兆だった」とわかったものだからだ。これはもはや「地震予知」というよりも、単に「地震後知」と言ったほうが正しい。]

 また、3/9にはM7.3の前震が起きているが、これに対する前兆はあいまいである。 M7.3というのは本震がなかったとすれば、それ自体でも立派な大規模地震であり、前兆がないはずはない。もしかすると、太陽風による異変と重なってしまったのかもしれない。地震による電離層への影響が、太陽からの影響より小さいものであるとした場合、大地震の前兆を見逃す危険性も大きくなる。

 「地震後知」ならば、研究者は危険を冒さないで済む。しかし社会が求めているものは「地震予知」である。私は、予知情報を有料配信するという早川正士氏の勇気はたいしたものだと思う。有料であるからには責任も伴う。はずれることを学問の未熟さのせいにすることもできない。地震予知の進歩のためには、このような動きが更に進んでほしいものである。

 そこで提案である。「地震予知判定局」とでもいうような公的な機関を設け、ファックスなりイーメールなりで、予知情報を一元的に集めるようにしてはどうだろうか? ただし、そこにレポートできるのは、予め登録してある団体や個人とし、やがては、正当率ともども発表できるようにする。正当率を計算するためにはいくつかの基準を並列的に設け、Aの基準では何%、Bの基準では何%とすることが必要であるかもしれない。前掲の「地震は予知できるか」(別冊宝島)には、個人のブログで予測していたという記事も多い。ブログの場合には後で改変することも可能なわけで、信用できない面もある。そのような者でも公的な機関を事前に通すことによって、お墨付きが得られることになる。

 この提案において私が念頭においているのは、ギリシャのVAN法である。彼らが成功しているのは日本よりノイズが少ないから、だけではないだろう。ギリシャには予知通報を事前に受け付ける公的機関が整っているらしい。そのシステムの存在こそが、日本との大きな違いであるに違いない、と私は考えている。

2013年4月14日 (日)

地震は雷のようなもの その10

  地底の電波は地上に出られるのか?

 このようにして、地中の電磁波が上空の状態に影響を及ぼすこと自体は疑いようのない事実ではあるのだが、どうしてそれが可能なのか?と考えるとき、以下のような疑問が生じる。

 大槻義彦氏の「物理・こんなことがまだわからない」(講談社ブルーバックス 1998)には以下のような記述がある。この中にある健治君とは高校1年生で、旅先で知り合った物理学者から物理学の問題点を教えてもらう設定になっている。

[福井工業大学の芳野赳夫教授が、地震前後に阪神高速道路を走っていたトラックの運転手から聞き取り調査をしたところ、本震の少し前から、突然カーラジオがものすごい雑音のために聞こえなくなったという。ラジオを切らずにいたら、下から突き上げるものすごいショックで急ブレーキをかけた。気を取り直してラジオを聴くと雑音は消えていて、通常の放送が聞こえたという。

ところで健治君はラジオが好きなようだから、普通はトンネルの中とか地下街ではラジオが聞こえにくくなることは知っているね。携帯電話も使えなくなる。

これは電波が地下には届かないからなんだ。空中を伝わってきた電波の一部は地面で反射されるし、残りの電波は地面の熱となって吸収されてしまう。トンネルや地下街の中でもラジオが聞こえたり、携帯電話が使えるところがあるのは、わざわざアンテナを張ってサービスをしているからだよ。

しかし、電波が地面から地中に入ることができないなら、逆に、地中から地面に電波が伝わってくることもないはずじゃないか。地震は地下数キロメートルとか数十キロメートルという深さで起こるんだが、そのとき岩盤が割れて電波が放出されたとしても、その電波はすぐに吸収されてしまい、地表までは届かないはずだろう。

それがどうして、地震の時にラジオの雑音となるのか、どんな雑音電波が地表に放出されるんだろうね? これは専門家を悩ませている大きな問題の一つなんだよ。]

 この引用箇所のすぐ前には、地震前によく見られる動物の異常行動の話が出ている。以前も書いた(東北地方太平洋沖地震 その7)ように、動物が地震そのものを恐れるとは思えない。地震そのものが動物の生存を脅かすことはほとんどないからだ。人間にはわからない何かを感じ取るのだろう。音かもしれないし、臭いかもしれない。しかし一番可能性が高いのは電磁波であると思われる。地震前に地中では電磁波が発生して、その一部が地表にも漏れるのだろう。

 前掲の「地震は予知できるか」(別冊宝島 2011年8月)には、太田光明氏(麻布大学 獣医学部介在動物学教授)の次のような言葉もあり、興味深い。

[「長年の実験を通してわかったことは、実験のために飼育されている実験動物では反応しにくいということ、野生に近い状態で飼育されている動物のほうが反応しやすいのです。また、電磁波を再現することも難しいとわかりました」

機械による電磁波はどうしても規則的で、地震のときに発生する不規則な電磁波を再現できない。]

 動物が本当には何に感応しているのか、この方面の研究も是非続けて、異常行動を引き起こす原因になっているものは何か、科学的に解明してもらいたいものである。

2013年4月 8日 (月)

地震は雷のようなもの その9

  上空の変異の電磁気的調査法

 中央公論2011年4月号に掲載された上田誠也氏の論文「どうする! 日本の地震予知」(地震は雷のようなもの その1)には電磁気的な予知の研究者について言及した部分がある。例えば「高周波(FM電波)伝播に関わる現象は、八ヶ岳南麓天文台の串田嘉男氏が発見した純日本産のものである」とか、「実用化といえば、同じく電波伝搬に関わるが、電気通信大学の早川正士教授らの低周波領域での前兆研究もある」などとある。

 最近になって、早川正士氏の「最新・地震予知学」(祥伝社NON・BOOK)という本を読んでみた。出版そのものは1996年と古い本で、以前に買ってはあったのだが、今まで読む機会がなかった。さまざまな周波数帯の電磁波についての解説があり、それらの違いなどを理解するのは結構厄介である。彼はオメガ波という低周波に着目している。1995年の阪神淡路大震災時に、対馬から発信されていたその電波の波形に異常が見られたから、らしい。もう20年近くが経ち、かなりの成果を上げられたものと思う。実際にも、上田誠也氏の前述の本の中に「最近会社を立ち上げ、近く予知情報の有料配信をスタートするとのこと、その利益で乏しい研究費を補って研究を進めるという」との記述がある。かなりの自信があるらしい。

 しかし早川氏の本によれば、オメガ波が有効なのは陸上においてであり、直下型地震の予知だけが可能だ、とある。今回の東北地方太平洋沖地震のような海溝型の場合には予知できないはずである。有料の会員にそれでも不満はないのだろうか?

 昨年7月に放送された「地震予知/上空に現れた謎の異変」(NHK「サイエンスZERO」)という番組によれば、電離層における電子数は、昼多くなり夜少なくなるのが通常である。しかし東日本大震災直前の3月8日からは、夜間になっても電子が減ることはなく、多いままだったという。

 この番組のゲストは千葉大の服部克己教授であった。彼の解析により、直前3日前の3月8日から、何かしら、震源近くより上空へと立ち上るものがある、ということが明らかにされた。前回引用した鴨川仁氏の解説においては、電子の変化は震央を中心とした波として表れる、ということであった。鴨川氏の場合は地震後に水平の変化として表れるのに対し、服部氏の場合は地震の直前、垂直型として表れるわけである。

 「地震は予知できるか」(別冊宝島 2011年8月刊)の、服部氏に取材して書かれた記事の中に、以下のような記述がある。

[GPSはより精度が高そうだが、その計算には衛星の軌道データが必要だ。このデータの公表が3日後のため、どうしても異常の検出が後追いになる。また、現状の観測体制では震源場所と規模の特定も難しく、まだ役に立つ予知情報にはならないという。]

 このようにして本やテレビ番組などを見ていくと、GPS衛星を使って、電離層における電子数の変異を調べていくという方法は、確かに経済的でもあり、広範の調査が可能なわけで、将来の予知のためには非常に有望そうではあるのだが、まだいろいろな難問を抱えているらしくもある。

2013年4月 2日 (火)

地震は雷のようなもの その8

  地底の状態を知るのに上空を調べる

 上田誠也氏が「地震がわかる」(朝日新聞社AERA MOOK、2002年11月)に書いた記事「地電流・地磁気・電磁波の観測で地震は予測できる」の中に、雷と地震との関係を示す以下のような記述がある。

[阪神・淡路地震のときに観測された電磁気異常現象をまとめてみると……(電磁波異常ノイズが)……地震発生の一週間ほど前に鋭いピークを示していたのです。しかし、これには問題がないわけではありません。この日には雷活動もあったのです。雷は強力な電磁発生源ですから、地震前兆と見えたのは雷の電波だった可能性があります。

詳しく調べると、雷発生ピーク時と電磁波異常ノイズ発生ピーク時は一致していませんでしたが、両者の関連は否定できません。しかし、もっと面白いことに、地震前に電磁波異常ノイズが発生し、しかも雷も発生するという例は多いのです。地震・雷なんとやらといわれますが、地震発生直前には大気中の電場も変化し雷も発生しやすくなるという可能性すら考えられているのです。]

 前回もみたように、地殻底にも火山雷のような放電現象があるとすれば、それが上空における雷を誘発したりすることもあるだろう。逆に言えば、上空の状態を知ることにより、地殻底の電磁気的状態を探ることが可能であるかもしれない。このことは既に、上田誠也氏を初めとして、多くのグループが研究中のようである。

 このシリーズの「その3」でも触れた「地震予知への挑戦」という講演会においては、鴨川仁氏(東京学芸大学・教育学部・物理学科 助教)が電離圏の電子状態の変化と地震との関連を解説している。

[地震が起きて大気が揺さぶられ、8分位で高度200~300kmに0.1%ほどあるプラズマを揺さぶって、電子状態の変化がGPS電波の受信データに表れます。要するに波を見ているので、地震計と同じ原理で震央を計算できます。一番大きく揺れた場所は、地震計でも宇宙からの観測でも殆ど一致します。この技術は津波にも応用でき、スマトラ沖地震の時の津波も、きちんと見られました。GPS受信機はどこにでもありますから、貧しくて検潮計が置けない国や地域でも襲来がわかります。

以上の話は地震後の事で世界中で研究していますが、やはり地震の前が大事です。1970年代にロシアで「地震の前に電離圏が変だ」と言って研究が始まり、90年代になって統計的にも「やはり変化はある」という事になってきたのです。ただ電離圏が変化するなら地表にその原因となるものがあるだろうと考えて、ラドンなど色々調べていますが、未だに理由は分かりません。]

 もしもここに書かれている通り、震央も計算でき、津波にも使えるのだとしたら素晴らしいことである。地中に掘る穴は点でしかない。それに反して、上空で地震の発生を知ることができるようになれば、それは全世界的な広がりを持つ。日本の地震だけなら大きなものはそうめったに来るわけではない。しかし世界中の電離層を調べ、地震前に世界各地の地震を予告できるとしたら、トライアル・エラーを何度も繰り返すことができ、的中精度をどんどん上げていくことができる。

 それに、いちいち地中に穴を掘るよりは、空中の電波や電子を調べる方がはるかに経済的でもある。ただし、電離層における電子状態は、地震以外のさまざまな要因の影響を受け易いと思われる。地震だけの影響を抽出するのは、結構難しいかもしれない。電離層に変化を与える地表、もしくは地底の原因が分からないようでは、地震と電離層との関係を本当に理解したとは言えない。地中に穴を掘っての、地殻底の研究もおろそかにしないでもらいたいと願う。

2013年3月27日 (水)

地震は雷のようなもの その7

  火山雷から地下の姿を類推する

 地殻底に噴火のような急激なマグマの動きがあるとすると、そこいらじゅうで乱流や渦などが生じるだろう。その場合には実際にも、地下で雷が生じている可能性もある。火山噴火に伴って火山雷が発生するのはよくあることらしい。私は新燃岳の噴火写真に雷が写っていたので興奮した。それは地殻底の雷を思わせるだけではない。地球にヤスーンが落下した直後の世界では、猛烈な雷が絶え間なく鳴っていたはずだからである。そのことは、私が1976年に自費出版した本の中にも書いたが、松本清張氏の「南半球の倒三角」の中にも書かれている。

 内部が生卵状態になっている天体が地球に近づき過ぎて空中分解し、それまで海洋だけの、原始地球を包み込むように落下した。溶岩のしぶき混じりの水蒸気が立ち昇り、青い宝玉のようだった地球はたちまちに、もこもことした厚い黒雲に包まれた。外からも透けて見えるほどの強い雷光がそこここで光り続けた。

 黒雲の中でアミノ酸が生成され、それは結合分離を繰り返し、やがてたんぱく質へと発展していく。今まで、生命の誕生は原始の海の中だったと考えられてきたが、私の仮説からすれば、空中であった。ユーリーとミラーによる実験のようなものを、このような仮想環境のもとで誰かやってみてもらいたいものである。

 火山雷の存在は、このような原始地球の姿をより一層確信させるものである。最近になって「火山雷」で画像を検索してみると、美しい映像がいくらでも出てくる。桜島での写真も多かった。新燃岳以前に私が知らなかっただけで、かなり一般的な現象のようである。

 火山噴火に伴って雷が発生するのだとしたら、地殻底においても、地電流が生じるのは当然に思える。何せそこでは、乱流や渦だけではなく、花崗岩などの岩石に圧が加わって発生する圧電効果もあるはずなのだ。日本でのVAN法は地表でしか計測できていないから、事前に確信を持って言い切れるほどの、前兆検出をまだできてないだけだと思う。地底にプローブ(検出器)をおいて、地底間を行き来する電流の変化を直接計れるようになるならば、必ずや地震を予知できる日が来ると信じている。

 キルギスの実験におけるようにわずかな電流を流し込んでも(地殻底のマグマ層 その34)、水や二酸化炭素を圧入(地殻底のマグマ層 その3その6その24)しても地震を誘発してしまうようである。2011年初め頃の私は、真山仁氏の小説「マグマ」の中で、誘発地震が扱われていないことを訝っていただけだが、それ以後やはり、地熱発電が地震を誘発する危険性が危惧されるようになってきた。最近では、シェールオイルを掘削できるようになって、アメリカは景気が良くなると予想されている。しかしそれにも、誘発地震の危険性があるように思われてならない。

 そうした危険性を避けるためには、地底の状態が詳しく研究されなければならない。特に自然地震の多い日本では、地底の電気的な状態を調べるのは、予知のためばかりではなく、地震の仕組みを知り、防災に繋げるためにも必須である。

2013年3月21日 (木)

地震は雷のようなもの その6

  雷にいろいろな種類のものがある

 最近、「スプライト」という放電現象が話題になっている。私は昨年4月放送のNHK「宇宙の渚 第1回」を見て初めて知った。大きな雷のときなどに、雷雲から上方へ向けて、くらげ状あるいは人参状の赤い閃光が発生することがある。この現象は1989年以前には知られていず、ほんの数年前から本格的な研究や撮影が始まったばかりである。

 「スプライト 雷」で検索すると、「超高層雷放電」というウィキが出てくる。読むと、宇宙空間には「スプライト」以外にもいくつかの発光現象があるらしい。地殻底の状態を考える時、雷以外の放電現象の存在は示唆に富む。単純な宇宙空間でいろいろな現象があるものならば、様々な種類の岩石があり、元素があり、マグマの状態で流動していたり、という地殻底は、宇宙空間よりももっと複雑な様々な現象で満ちていることだろう。

 火山の説明図を見ると、火山の下にマグマ溜まりがある。そしてその下には、マグマの供給源がある。ある場合にはプレートが沈み込む境界面であったり、別の場合にはマントル層から直に上昇してくるホットスポットであったりする。

 ハワイ島における噴火の場合、マントル内から上昇する姿を、地震波によって追跡できるとも言われる。そしてそれ故にこそ、熱対流以外にもホットスポットという上昇流があるとされるようになった重要な地点でもある。しかし、一つの対流の中に別の上昇流があり、全体の対流の流れを乱すこともない、という点は理解しにくい。しかもその上昇流は、自分自身対流となることはなく地表で噴出して終わり、というのである。

 大西洋中央海嶺上の島アイスランドでは、上昇したマグマが大西洋を二分し、島をも裂くと言われているのに、ハワイでは、西北へと移動する太平洋プレートによって島ごと流されてしまうらしい。どこか説明がちぐはぐである。ホットスポットは本当にマントル層に根ざしているのか、ハワイ島の周りの海底下数箇所に地震計を置いて、追試してもらいたいものである。

 一般に科学者は、特定の火山を単独に考えるだけで、マグマ溜まり同士がどのように関連し合っているか、などということには興味がないらしい。学問の追究の仕方自体、専門を深く極めようとするわけで、何事にも垂直型なのかもしれない。

 ところが、水平に移動する地震や火山の例は数多くある(地殻底のマグマ層 その2その23その26その27)。そしてそれはマグマの水平移動を示唆するものなのだが、プレート説で説明のつかないそのような現象を、問題とする学者はほとんどいない。

 以前も書いたように(地殻底のマグマ層 その6)、私は地震の原因を、水平移動するマグマの「横向きの噴火」とイメージしている。ところがそのイメージは、それがブログに掲載(2011年3月9日)された直後の東北地方太平洋沖地震により、それほどに単純なものではないと思い知らされた。

 私のイメージは、前述の1960年チリ地震で代表されるような方向性を持ったものによって作られたのに、今回の地震にはそうした方向性がなく、同時多発的だった。そこで、スプライト等の空中放電にいろいろな種類のものがあるということから、地震にもいくつかの種類があるのではないか、と考えるようになった。

 地震とは、マグマの水平移動によって圧が高まった地殻底一帯で、雷のようにあちこちで起こる、急激な噴火型流動であり、そのうちの大きいものは岩盤の破壊も伴う、というのが現在の私が抱いているイメージである。

2013年3月14日 (木)

地震は雷のようなもの その5

  余震の多さは説明がつかない

 前にも書いたように(地殻底のマグマ層 その18)、地震の真の原因は地殻底のマグマの移動にあると、私は考えている。マグマの移動がさえぎられると、そこで圧が高まり、ついには地下の岩体の亀裂、もしくは破壊が生じ、地震が発生する。大雨の時に山の崩落が起きると、木々などが流れをふさぎ、一時的なダムができる。地震はそのダムの決壊のようなものとイメージされる。

 ところが余震はなぜ起こるのだろう? と考えていくと、地下の岩体の亀裂や破壊では説明がつかない。一度亀裂や破壊の起こった同じ場所が更に亀裂し、振動し続けるのはおかしい。仮に、ダムの決壊時に流れ残った障害物の、更なる決壊というイメージで捉えるにしても、余震群をうまく説明できるとは思えない。

 余震についてや、キルギスでの電流流し込み実験などについて考えているうちに、次第に、地震は雷のようなもの、と思えるようになってきた。雷ならば、積乱雲の一帯でそこここに発生する。地震も同様に、圧の高まったマグマの一帯でまるで雷のようにあちこちで、大きな振動を起こすと考えられる。

 「東北地方太平洋沖地震 その3」において私は、ピンボール・ゲームのような、地震連鎖の不思議な起き方に注目した。その時書いたことのポイントをもう一度ここにくり返して書く。

 3月9日の前震から11日の本震までの間、わずか50キロ程度の移動に対して2日かかっているのに対し、本震から次のM7.4 の余震までの間はわずか22分、200キロも北に移動している。その次のM7.7までの間は更に短く、7分で450キロ、今度は南に移動している。そして更にその10分後、M7.5の余震が海溝を越えた本震の真東で起こっている。これも、400キロ近く移動したことになる。

 これらの連鎖を、プレート説で説明することはほとんど不可能である。しかもこれらの大きな余震群を深さから考察してみても、本震の24キロに対し、32、43、34キロと、ほぼ同一平面上で起こっていて、沈み込むプレートの傾斜を思わせるものは何もない。特に最後の34キロのものは、日本海溝よりも東の、太平洋プレートの中にある点で注目に値する。

 500キロほどの距離を10分20分程度の短時間で移動することは不可能である。こうした余震群のありようは、移動は言うに及ばず単なる亀裂や破壊、断層によってでも説明がつくとは思えない。あの時の余震は、むしろ同時多発的に起きたと見るべきである。

 このことは、M7 以上の大きな余震だけではなく、M3 以上の余震で見た場合もっと顕著になる。余震群というのはもともと、大地震に伴うのは当たり前、ということで誰もそれ以上に追究しようとはしなかった。しかし先ほども書いたように、一度破壊の起きたところに再び無数の破壊が起こり得ると考えること自体、極めて理解しにくい。ひびの入ったクシの歯が振動するはずはないからである。

 気象庁のホームページの「震央分布図」2011年3月9日から15日までを、あの当時(4月5日)プリントアウトして、米国地質調査所の同様な資料と比較しようとした。M3 以上の地震や余震は50頁近くにもなり、その多さに驚いた。⑨97 ⑩71 ⑪291 ⑫457 ⑬348 ⑭355 ⑮277 合計1896 の地震が7日間に起こったことになる。これだけの数(そしてもちろん余震は7日で終わったわけではない)の地震が全て岩石の破壊で起こったとすると、地下の岩石は、踏みつけたガラス板のようにひびだらけ、こなごなになっていなければならない。
 
 最近になって、興味深いサイトを見つけた。http://monoroch.net/jishin2011/#1

 2010年1月から2年近くの日本周辺の地震を、効果音入りの動画にしたものである。地震の規模や数により、花火のように点滅するのだが、東北地方太平洋沖地震以降しばらくの間の三陸沖は、それ以前と全く違って激しく点滅する。この動画を見てから、地震は雷のようなもの、というイメージが一層強まった。

2013年3月 8日 (金)

地震は雷のようなもの その4

  地震は地下に亀裂を作る? 

 そもそも、地震はなぜ起こるのか?と考えてみる。
 私が一番印象に残っているのは、「地震の科学」(竹内均著、NHKブックス、1973年刊)における説明である。

[地震が一種の破壊現象であることは疑うべくもない。たとえば、大地震の時によく現れる断層面は、このような破壊がおこった面と考えられる。]

[大地震がおこると、これに引き続いてそれよりは小さい数多くの地震がおこり余震とよばれている。また余震のもととなった大きな地震を本震あるいは主震とよんでいる。]Photo_2

[余震のおこり方に関する第二の特徴は、本震の震央が余震域の中央にあるというよりもむしろ、その端に存在するということである。ちょっと考えると、余震域は本震の震央を取り巻いていた方が自然なように思われる。しかし、松沢武雄がくり返し主張したように、実際には本震が余震域の一隅に存在する場合が多い。第30図に示したのは、1960年5月のチリ地震にともなった余震の分布である。この図からもわかるように、チリ地震の本震は余震域の北の端にある。 ……チリ地震の際には、震源から出発した割れ目が南へ向けて走り結局750キロメートルもの長さの割れ目ができたことが知られている。]


 地下の岩石は大きな圧力のもとで、巨大な岩体もしくは岩盤(一体の岩石という意味で使う)になっていると思われる。その岩体の一箇所に亀裂が入り、それが一方向に走る、と考えるとチリ地震のイメージがはっきりする。

 それではその亀裂は、カーテンのような垂直型であるのか、平面に広がる水平型であるのか、と考えてみる。プレート・テクトニクス説の説明からすれば、水平型であるのが当然のはずだが、断層ということからすると垂直型のはずである。

 だいたい、チリ地震のときの断層はどのようなものだったのだろうか? たぶん日本の活断層図のようなものがあるに違いないと思い、インターネットをあれこれと探すのだが、なかなか見つからない。観測史上最大の地震なので、巨大なずれが航空写真でも見えるはずなのだが、それもない。グーグル・アースで探すと、その辺りは森林地帯のようである。もしかすると、それで上空からは見えないというだけかもしれない。

 断層の長さは、この本では750キロメートルとあるが、他では800キロとも1000キロともある。しかし不思議なことに、推定と書かれていることが多い。実際の地表の断層の長さによるのではなく、余震域の長さから、断層はこれだけあったはずだ、と推定されているだけなのかもしれない。

 いずれにしても、アメリカ西海岸カリフォルニアのサンアンドレアス断層ばかりが大きく取りざたされているというのに、そこで起こるどのような地震よりも大きな地震の発生源であるはずのチリ地震断層が、ほとんど話題とされることもない。何とも奇妙なことに思える。説明のつかないところは取り上げられない、ということなのだろうか?

 それはともかくも、地下の岩体の一箇所にひびが入り、それが地震によっては1000キロほどもの亀裂となって一方向に走っていく、というのが、地震の本などから受けた地震というものの印象であった。

2013年3月 2日 (土)

地震は雷のようなもの その3

  何故キルギスで実験を?

 インターネットを検索している時に、一般教養研修講演会「地震予知への挑戦」(http://www.geocities.jp/semsweb/IPCCnews.html)
というタイトルの講演要旨を見つけた。出だしは理事長の、講演会を催すことになった経緯の説明である。

[私の友人で若くして東大教授からカリフォルニア工科大学教授になった地震学の世界的権威金森博雄先生に、話を聞く機会を持ちました。その際、彼から、予知については一番良く研究されている上田先生の話を聞くよう勧められ、ご紹介頂いて、本日、三先生にご講演頂く事になった次第です。]

 別のサイトを探したりして、この講演会は、「工業所有権協力センター」という一般財団法人が、2010年10月22日に行ったものであり、理事長と金森先生とは、筑波大付属高校の同級生らしい、と知れた。3先生とは、上田誠也、長尾年恭、鴨川仁の3氏であり、VAN 法を中核としての研究グループである、と思われる。東日本大震災の4~5ヶ月前であるにもかかわらず、またこうした地味な団体の主催であるにもかかわらず、受講希望者322名とあるのは注目に値する。地震予知不可能論が大勢を占める日本にあっても、なおかつ多大な関心が、地震予知の分野には寄せられているようだ。

 この講演要旨の中の、長尾年恭氏が語ったと思われる部分により、私の以前からの疑問が解けた。それは、いったい何故そんな辺鄙な土地で、そのような地震学上の最先端の実験が行われているのか?という疑問である。

[中央アジアのキルギスで、非常に大規模な地中への電流注入実験を行っています。これは、ソ連時代に核戦争で電離層が吹き飛んで通信ができなくなるのに備えて、電磁流体発電機MHDという装置を使い、モールス信号をパルス電流にして地下を通じて送ろうとした所、地震が起きだした事に始まります。愛知万博でキルギス館に「地殻変動深層電磁コントロールシステム」が稼動しているという展示パネルがあり、それに気付いて2008年に現地へ行って、研究する価値ありと国際プロジェクトを立ち上げました。]

 これは驚いた。地震制御のために起こそうとした実験ではなく、他の目的で偶然に始めたことだったのだ。デンバーで流体の核廃棄物を地中に埋め込もうとして、人工誘発地震を意図せずに引き起こした事例と似ていなくはない。もともと地震の発生機構がわかっているわけではないから、こういう偶然が重なるのだろう。

 もう一つの偶然は、愛知万博にそれに関した展示パネルがあり、それを見た長尾氏らが、その重要性を悟ったという点である。普段から、VAN 法など地電流の研究を行っていたからこそ、一目見てこれだ、と思ったのだろう。地震予知などできるわけはない、と決めてかかる者が見ても、気づき得ないことであるかもしれない。

 キルギスの電流注入による人工誘発地震実験を、上田氏や長尾氏が着目したことは、この先に述べるいくつかの理由により私は、地震学の新しい扉を開く画期的なことである、と考えている。

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