2019年2月11日 (月)

災害先進列島  その6

  CO2圧入実験の再開

 最近金森先生、上田先生宛てにメールをお送りした。それぞれの先生方にはお尋ねする内容が違うので別々のメールとし、ccでお二人に届くようにした。金森先生からはその両方へ、別々のお返事を頂いた。以下は私が上田先生宛てにお送りした分への、金森先生からのご返信である。ここで取り上げたい部分を【 】内に入れる。日本文は私の文章、英文はその文節に対する金森先生からのコメント、( )内に私の和訳を入れる。

【上田先生
ご無沙汰しております。いかがお過ごしでしょうか?
最近、胆振東部地震は苫小牧沖でのCO2圧入実験によって引き起こされた誘発地震だというネットの記事に触発され、私のブログで扱いました。

I did not know that someone said that the Hokkaido event was triggered by CO2 injection. It is certainly possible, but injection alone won't cause an earthquake. There must have been accumulation of tectonic stress.(北海道の地震がCO2圧入によって誘発されたと誰かが言っていたとは知りませんでした。確かに可能ではありますが、注入だけで地震が起こるわけではありません。構造的な歪みの蓄積があったはずです)

In any case, it would be interesting to follow this up.(いずれにしても、この件を興味深く見守って行きます)

温暖化抑制のためのCO2貯留という考え方には反対なものの、既に実験に着手して地震を誘発してしまったかも知れない現在、 むしろ実験を継続してCO2圧入が本当に地震を誘発するのかを確かめるべきだと考えます。
それを書いた流れで自分の過去のブログを調べてみたところ、上田先生の電流注入実験について、何回か繰り返し書いています。
キルギスのような小国で、しかも地震被害が酷いというわけでもない国で可能であった実験が、何故日本で出来ないのか、と思います。
キルギス或いは日本で、電流注入実験のその後は如何でしょうか?

I am also interested in the follow-up experiments if they could manage to continue it. (私も又、その後の実験が継続できているようなら興味があります)】

 石田昭氏のサイト(2019-01-24)の記事から、苫小牧沖のCO2圧入が再開されたと知った。リンクによって日本CCS調査株式会社のサイトに達した。CCSとはCarbon dioxide Capture and Storageの略で、二酸化炭素(CO2)の回収、貯留を意味しているそうである。

 サイトには圧入量、周辺のCO2濃度などの他、地震のデータも出ていた。ここまでデータを明らかにしている以上、これは問題ないなと思う。後は実際に圧入量に見合う地震が起きるかどうかだけである。起きなければ、金森先生が言うような「歪みの蓄積」がなかったということになる。この圧入継続は、地震学に多大な貢献をする可能性もある。注視して行きたい。

2019年1月10日 (木)

災害先進列島  その5

  電流注入実験とCO2圧入実験

 前回のブログで私は、苫小牧沖におけるCO2圧入に反対すると書いた。それにもかかわらず、胆振東部地震とCO2圧入との関連を解明するための実験を提唱した。しかしその実験が現在の施工会社によって継続されるとすれば、実験は名目だけのものになってしまう危険性もある。又、想定以上の地震を発生させてしまう危険性もある。それらの危険性にもかかわらず、地震を発生させる実験を行うことには計り知れないほどのメリットがある。

 現在の地震学によれば、地震は断層によって起きるとかプレートの沈み込みによって起こるとか言われている。しかしそれらを実験によって実証しようという試みはない。そして実証されない限りは、現在広く認められている地震発生論も単なる仮説の一つであるに過ぎない。

 とは言え、現実の地球上では時間的規模的なスケールが違い過ぎ、通常の実験は行なえない。そうした中で例外的に可能性がありそうなのは誘発地震の分野である。誘発地震については既に何回か書いているので、まとめてみたい。

 中央アジアのキルギスでは、地震を発生させる電流注入実験が行なわれた。それについて私は、「何故キルギスで実験を?」(地震は雷のようなもの その3)で書いた。もともとは旧ソ連時代に、核戦争で電離層が吹き飛んで通信ができなくなるのに備えて、モールス信号を地下経由で送ろうとしたところ、そのための電流で地震が起こったのだそうだ。

 上田誠也氏と渋谷でお会いしたのは2010年10月のことである(日本で学者たちと議論 その5)。本来は海外へ出かけるご予定が入っていたのに、入院されたためにそれをキャンセルされ、結果として私はお会いすることが出来た(日本で学者たちと議論 その4)。

 その5か月後、東日本大震災が起こり、その10日ほど後に上田氏からメールをいただいた。大震災当日に、キルギス・ギリシャでの地震予知研究旅から帰国したばかりだと言う(地震は雷のようなもの その1その2)。しかもその前日、上田氏の論文が出ている中央公論4月号が発売されたばかりである。その論文には、キルギスの実験についても触れられていた。内容的には、渋谷でお会いした時に頂いた学士会会報(2007年7月号)内の講演要旨とほぼ同じであった(地殻底のマグマ層 その32その34)。

 というように当時は、電流注入による実験が日本でももうすぐ行なわれるのではないか、という思いで興奮した。しかし残念ながら7∼8年経った今も、ネットなどで見る限り、そのような動きがあるようではない。

 水や液化CO2注入実験についての島村英紀氏の指摘は、このシリーズの「その2」でも書いた通りだが、私は以前のブログでも何回か引用した(地殻底のマグマ層 その3その6その24)。それらを書いた時には気付かなかったが、最近になって調べたら、島村氏は苫小牧沖でのCO2圧入実験についても書かれている(夕刊フジ 2016年7月8日)。年10万トン以上、新潟での実験よりも1桁以上大規模なものだったとある。

 ところが、今回の胆振東部地震とCO2圧入実験との関連性について島村氏がどう考えていられるのか、ネットで探すのだが見つからない。探し方が悪いのだろうか? 不思議である。

2018年12月10日 (月)

災害先進列島 その4

  二酸化炭素圧入は是か非か

 石田昭氏のサイトを見ると、その後も活発に苫小牧沖の二酸化炭素圧入問題を扱い続けている。毎日のように更新し続けているその情熱には頭が下がる。しかし彼の意見には賛成しかねるものも多い。その一つは地熱発電と地震との関係である。

 かって私は真山仁氏の小説「マグマ」を読んで、何故地震との関連に言及しないのだろうと不思議に思った(地殻底のマグマ層 その6)。

 その小説に高温岩体発電というのが出てきて、ドラマチックなトラブルが発生したりする。地下の岩盤に冷水を圧入し、ひび割れを人工的に作る高温岩体発電は、言ってみれば原油を増産するために使われるフラッキングという手法と同じである。

 当時はその小説により、地熱発電に地震が伴わないのかも知れないと考えたりもした。しかしやはりそんなことはないようで、水であれ二酸化炭素であれ、液体にして圧入すれば地震を引き起こすようである。ネットで検索すると、韓国でも地熱発電との関連が疑われる地震が発生したそうだ。

 しかしながら、私は地熱発電そのものに反対はしない。地熱発電が小規模で、エネルギーの取り出し方が強制的でない場合には地震は起こらないし、起こっても被害地震とはならないだろうと思われる。

 そもそも我々は、出来得る限り、太陽や 地球から自然に出てくるエネルギーだけを消費すべきなのだ。埋蔵されているエネルギー資源を取り出そうとするから、自然界のバランスを狂わすことになる。そして更に重要なのは、一つの世代だけが埋蔵エネルギーを湯水のように使っていいわけではない、という点である。

 人は、技術的に可能かどうか、採算が取れるかどうかだけを考える。しかしもっと大局的に考えて、将来の世代に残せるかどうかという視点をも持たなくてはならない。埋蔵資源は、一つの世代だけが使い切っていい財産なのではない。

 そのような大局的、歴史的な目を持ってこの二酸化炭素圧入の問題を見てみると、それは、邪魔なものは埋没して将来の世代に負の遺産を残そうとすることである。原子力発電によって生み出される廃棄物を埋没してしまえ、というのと考え方は同じである。

 しかも、二酸化炭素という環境からの廃棄物を処理しようとする場所は、地下深部という人類にとっての秘境である。そこは、宇宙よりも深海よりも理解の及ばない未知の世界である。最後の秘境と言っていい。そのような訳も分からない場所に環境廃棄物を貯留すれば、一体どのような事態が招来されるかも分からない。英語にsweep something under the rug (じゅうたんの下に掃き込む=不都合な物を一時しのぎに隠しておく) という慣用句がある。その場合にはただ隠しておくというだけなので罪は軽い。二酸化炭素圧入が引き起こすのは、地震だけではないかも知れない。我々が未知の、大災害が引き起こされる可能性すらある。

 しかしながら、苫小牧沖での二酸化炭素圧入は既に行なわれた。そして北海道で最大の被害地震が起こった。問題は、圧入と地震との関係性を果たして証明出来るか否かである。両者は因果関係無しに、偶然時間を前後して起こっただけかも知れない。

 それを証明する最も手っ取り早くまた説得力のある方法は、実験することである。そしてそのためには、二酸化炭素圧入の継続が必要とされるかも知れない。おそらく圧や量をコントロールする限り、被害地震を誘発することはないと思われる。しかしその危惧があるにしてさえも、実験によって得られるメリットはそれによる弊害以上に大きい。地震学は、そうした実験を通して本当の科学になる。

2018年11月10日 (土)

災害先進列島 その3

胆振東部地震 深発の謎

 今回の北海道胆振東部地震(2018年、M6.7、震源の深さ37km、震度7)は、M6.8の2つの新潟地震と規模的にはそっくりである。ところが震源の深さだけが合わない。37kmというのは、その辺りにおける地殻の厚さに相当すると思う。地殻底もしくはマントル上部で発生した地震を、プレート説ではどのように説明するだろうか?

 おそらくいつも通りに、プレートの下降とその反発とか断層とかで説明するのだろうが、高圧高温であるはずのそれだけの深度に反発とか断層は相応しくない。大陸(又はプレート)の移動の根拠である半流動性は、地震発生機構の大敵とも言えるものだ。もしも岩石が滑り易いとすれば、地震など起こるはずもない。粘土のような物質を使って、実験なりシュミレーションなりを行なってほしいものである。

 プレートテクトニクス説によれば、プレートの下降に伴って水が深部にまで取り込まれるとされている。しかし水が地殻深部にまで潜り込めるというのは証明された事実ではない。花崗岩(比重2.5~2.8)は玄武岩(比重2.8~3.1)よりも軽いので沈むことは出来ず、浮きカスとして大陸となったと言われることさえある。とすれば、比重1近くの海水がどのようにして岩石の下に入れるのか?

 プレートが含水鉱物になって下降するという考え方もあるようである。しかしこれは言葉を変えただけの話で、含水鉱物となれば水を含んでいるぶん比重も軽くなり、含水鉱物自体が沈み込めなくなる。

 では何故地下水が存在するのか?固体である岩石同士の間には空隙が存在していたり、マグマの抜けた跡が空洞として残っていたりするからである。それらにある空気は比重の面からしても容易に水と変換し得る。それも地底深くなるにつれ、高温高圧状態のもとで半流動的となり、空隙や空洞が存在できない。このように考えてみると、地震の発生に水が関与するのはあくまでも地殻浅部に限ると思われる。

 プレートテクトニクス説は比重によって成り立っている。熱により 膨張して軽くなったマグマが中央海嶺部などで湧き出し、水平移動している間に冷却して重くなり、海溝部などから下降する。岩石の比重による差がプレート移動の原動力である。ならば「下降するプレートによって海水が取り込まれる」などと主張する場合には、岩石と水という異物質間の比重差は当然考慮されなければならない。

 このようにして、37kmという今回の地震の深さを考える時、断層説によってもプレートの下降によっても今一つ疑問が残る。では、私の仮説ではどのように見るのか?

 地殻底のマグマ層に厚い薄いの差がある場合、層の厚さの違いがレンズのようになり、下部の地震波をレンズ効果で屈折すると考えている。つまりマグマ層下部で発生した地震を地上から観測すると、実際よりも深くで起こったかのように見えるのだ。

 地震学の大御所である金森博雄教授は当然ながら一笑に付す。「今の地震学は非常に精巧です。レンズ効果みたいな現象があれば、とっくに知れているはずです」。

 しかし、その時にも反論した。コラ半島(ロシア)における超深部掘削時には、地震学による地殻内予想図は見事に外れた。私の方が正しいと将来思われるようになる可能性ゼロではない、と。


2018年10月11日 (木)

災害先進列島 その2

  CO2圧入による地震かも

 前回も書いたように、台風21号が大阪を直撃した翌日、かってない凄まじい風害の映像を次々と見た。北海道で地震があっという第1報を聞いた時も、車すらコロコロと吹き飛ばされる風害に比べれば、さほどのこともないだろうぐらいの思いしか持てなかった。ところが続報が入ってくるにつれ、認識を改めさせられた。

 こんなに凄まじい山崩れの映像を見たことがない。M6.7の直下型地震というのは、これほどにも威力があるものなのか、と驚く。更に、一つの発電所が地震によって壊れたら北海道全体がブラックアウトになるという文明の脆弱さにも驚いた。

 それにしても、電力が発電量と消費量のバランスによって成り立っているとは何という危うさだろうか? 仮に戦争になって、発電所の数ヶ所が同時に爆破されただけで、日本全土がブラックアウトになる。すると鉄道は言うに及ばす、コンピュータなど電気で成り立っているシステム全てが止まってしまう。

 この地震時に驚いたもう一つは、かなり個人的なことであった。私は最近では、火山噴火や地震があると石田昭氏のサイト「新・地震学セミナー」を覗くようにしている。彼は地球物理学の専門家ではないが、情報更新が早いのだ。地震があった日の夜も、日本時間で半日しか経っていないし、未だ更新はされてないだろうと思いながらサイトを覗いた。ところが、既に更新されていたので驚いた。そしてその内容は、更なる驚きであった。

 苫小牧沖でかなり前からCO2圧入が行われていて、1年前からはその圧入作業が本格化したはずだという。えっ!あの地震は誘発地震の可能性があるということか? しかも石田氏は、以前から何度も警告を発してきたという。

 水や液体の注入による誘発地震については、地震学者島村英紀氏が繰り返しその可能性を指摘している(サイエンス・アイ新書「日本人が知りたい地震の疑問66」、ウェブ「人間が起こした地震」「人の手が新たな地震を生みだしているのか」など)。また、液化CO2を注入したことが、新潟県中越地震(2004年、M6.8、震源の深さ13km、震度7)及び新潟県中越沖地震(2007年、M6.8、震源の深さ17㎞、震度6強)を誘発したのではないかと示唆してもいる。

 高名な地震学者である島村氏のこうした示唆にもかかわらず、何故苫小牧沖での圧入を強行したのだろうか? 私はそこに、災害に対する構造的な問題点を見る。東日本大震災時に福島第一原発だけが津波の被害を受けて電源喪失に陥ったのは、元々の土地を削ってまで、冷却水取水などの企業効率を重視した結果であった。西日本豪雨災害時のダム放流、21号台風時のタンカー沖合い停泊、どれも結果の重大性に対する想像力の欠如があったと言える。もしも熱中症などの被害が多発したら、真夏の東京にオリンピックを誘致した想像力の無さが問題とされる。同様に、地殻底の状態が何も分からず、地震の発生機構も確定出来ていない現状において、地下に影響を与えかねないCO2圧入は止めるべきであった。

 それでなくてさえ各種の自然災害が多発する日本列島において、人為的な要因でそれを増幅させることがあってはならない。さもなければ将来「災害を自ら招来するという面でも先進的な国」という汚名を着せられることになる。

2018年9月13日 (木)

災害先進列島 その1

  東京五輪開催時期の再考を

 今年の夏は日本のニュースから目を離せなかった。6月19日に大阪北部地震が起きた。大都市の直下型地震だというので注目した。そして台風。西向きに進んだ台風もあり、驚いた。予報の段階で西向きの進路が描かれていたので、予報通りになるかにも興味を持った。地震や噴火の予知は未だ不可能だが、気象の予報精度はたいしたものだと感心した。迷走台風あり双子台風あり。線状降水帯による豪雨、洪水。そして猛暑。全く何でもありの夏だった。

 猛暑はもはや、毎年の恒例になってはいるが、今年は各地で最高気温の記録を更新した。更にこの猛暑のおかげで、2020年の東京オリンピックのマラソン開始時間を早めることになった。しかもそれではまだ足らず、サマータイム導入も提案された。

 何とも姑息な解決策である。死者も出るほどの日本の夏に大量の客を迎えること自体、「おもてなし」の精神から大きく外れるのではないだろうか。前回の1964年東京五輪は10月に開催され、秋晴れの空に自衛隊機が五輪のマークを美しく描いた。何故その清々しい10月ではなく、蒸し暑い真夏にスポーツの祭典を催すのだろうか?

 テレビを見ている時に、「10月だと野球が優勝のかかる段階だったり、アメリカン・フットボールなどの有力スポーツがシーズン中だったりするので、放映権を高く設定出来ない。そういう方面からの圧力がかかり、真夏から移すことは出来ない」というコメンテーターの意見を聞いた。なるほどと思いはするものの、オリンピック出場選手や観客を熱中症に晒す危険性とアメリカのスポーツ視聴率、どちらが大切なのかという気もする。

 サマータイムというアメリカの、問題のある制度を導入しようという案が出たこと自体も不愉快だった。アメリカに長いこと住んでいるが、年2回の変更時の煩わしさ、本当の時間はいま何時?と頭の中で換算する面倒臭さ、に未だに馴染めないでいる。

 その後の報道で、サマータイムを既に実施しているヨーロッパでは、逆に廃止の動きがあると知った。84パーセントの住民が反対だったそうだ。とすると、アメリカにそういう動きはないのだろうか? もしもないとすれば何故か?  この国はヤード・ポンド法、温度の華氏など、不便なのに変えようとはしない。国民性として保守的なのかも知れない。銃規制がなかなか進まないのも、それが理由の一つだと私は考えている。蛍光灯やLEDが使われ、家電などの種類が増えた現在、サマータイム制によって節電出来る割合は低下しているのではないかと思う。それでもアメリカが制度廃止に踏み切るのは、最後の最後になることだろう。

 台風21号が大阪を直撃した時には、都市部を襲う風害の凄まじさに驚嘆した。車がひっくり返り、吹き飛ばされる。建物から剥がされた屋根や建材の破片が飛散する。まるで竜巻並みの風速だ。関西国際空港の被害の映像も凄かった。台風の強さ、進路は予め分かっていたのに、それでもタンカーが給油しなければならない緊急性が果たしてあったのだろうか?

 被害の他に、外人旅行客の姿も目を引いた。外部との交通を遮断されて、空港内に長時間閉じ込められた彼らの困惑の姿が印象的だった。もしも2年後のオリンピック時にも同様な想定外の出来事が起こった場合、困惑する外人客の数は莫大なものになる。

 今年の夏の災害は、天からの警告であるような気がしてならない。今からでも東京オリンピック開催時期を遅らせられないか、可能性を探るべきだと思う。

2018年8月13日 (月)

「西之島は大陸の卵」に疑義あり その13

  ジーランディアが水没大陸だとすると

 前回ちょっと触れたように、フィジー海域のすぐ近くにジーランディアという水没大陸がある。肩甲骨と腕というその時の比喩を更に拡張すれば、ちょうど胃の位置にあたるだろうか。プレートテクトニクス説によれば、超大陸ゴンドワナはオーストラリア大陸・南極大陸だけではなく、ジーランディアもその一部であった。それらの大陸が分裂して移動した後、ジーランディアだけは薄く引き伸ばされながら水没したというのである。しかし同じ花崗岩・安山岩で出来ている大陸の一方は沈めないままなのに、ジーランディアだけが沈めたのは何故だろうか?

 このような説の出現は、大陸の隆起沈降を当然と考える私の仮説にとっては都合が良い。もともとヤーン落下時のマグマは、花崗岩と玄武岩の混合であった。一旦主要な大陸塊を形成した後、より比重の大きな玄武岩が下方から滲出して海洋底を覆った。したがって、大陸に広大な玄武岩層があるのも、沈んだ大陸ジーランディアがあるのも不思議ではない。それらは固化した混合岩石の上部だったのだ。

 前にも書いた(海洋底の縞模様 その12)ように、フィリピン海プレートは沈んだ大陸、ムー大陸があった所だと私は考えている。但し、フィリピン海のどの部分が水面上にあったか、ムー大陸がどのような形をしていたか、などは考えたこともない。安山岩線の内側とムー大陸伝説との結びつきが何となくロマンチックに思えた。しかし最近になって考えてみると、私が考える沈んだ大陸は沈みっぱなしだった可能性もある。太平洋中央部にあったとされるムー大陸とは場所からしても年代からしても、別物だったと言うべきかも知れない。いずれにしても、ジーランディアが沈んだ大陸であるならば、フィリピン海が沈んだ大陸だとする私の考え方には有利である。

 ところがジーランディアが水没大陸だとすると、大陸移動説には不利であるかも知れない。水平移動したプレートが沈み込む時に花崗岩は軽くて沈めないので、浮きカスとして大陸になったと言われている。それなのに、花崗岩が水没してもいいものだろうか?

 また、もともとが大西洋両岸の相似形から始まった大陸移動説である。大陸が水没し得るとすれば、長い水平移動の間の、形の保持は保証できない。

 更に、大西洋両岸の相似形は、移動によってではなく陥没によって作られたと考えることも出来る。大西洋全体の陥没というのは巨大過ぎる現象ではあるが、不可能ではないはずだ。大西洋底で花崗岩塊が見つかったと言われる。もしも将来もっと大量に発見されるようになれば、大陸移動説の重要な根拠が失われる。

 ついでながら、ジーランディア大陸の形を仔細に見ると、そこにも逆三角形がある。また「く」の字もしくは「し」の字の折れ曲がりもある。この「く」「し」字型地形はハワイ諸島ほかホットスポット説の例として挙げられている太平洋の島々の並びと同じである(海洋底の縞模様 その24参照)。東南アジアの半島からインドネシアの列島へと続く折れ曲がりは前々回、前回にも触れた通りである。更に、南に向かう地形が東へと折れ曲がるのは、南北両アメリカ大陸の南端にもある。こうして見ると、逆三角形や「く」「し」字型の折れ曲がりは全地球的な地形の傾向なのだ。私の仮説以外の解釈は可能だろうか?

2018年7月14日 (土)

「西之島は大陸の卵」に疑義あり その12

  海底地形と弧状地形の謎を学者に問う

 今まで、ブログの下書きを知己のある科学者に送るのは、その相手の学者に関わりのある場合だけだった。私のような反対の立場の者の文章など、あまり読みたくはないだろうと思う。しかし西之島の件については、最初からの行きがかり上、あまり関係のないことであっても、金森先生などに送ってきた。以下はそのようにして添付で送った時の本文であり、前回、前々回に書いたものの補遺、解説になっているので、そのまま載せる。

【金森先生
お変わりございませんでしょうか?田村芳彦氏とのメール交換についてのブログの下書き、今回も勝手ながら、続きを送らせて頂きます。
「その10」で書いたフィジー島海域というのは、今迄その形の特異さに気付いてはいたものの、深く考えてはきませんでした。私の仮説による解釈の当否は別にしても、海域の形の不思議さに対して、先生方がどのような感想をお持ちになられるか、関心があります。
また「その11」では、日本列島を含む弧状の連なりがアリューシャン列島にまで続いているのだ、ということにも注目して頂きたいです。天皇海山~ハワイ諸島列の並びですら、それら弧状列島を交差する放射地形の一部でしかありません。
我々が目にする世界地図では、日本列島などは舞台脇のカーテンのように連なるのに対し、アリューシャン列島は舞台天井から垂れる短い幕のようです。つまり、日本列島他の弧状列島とアリューシャン列島とは全く別物に見えます。
私が使ったのは、National Geographic 社の「Satellite Atlas of the World (1998年)」に出ていた図で、Two-Point Equidistant Projection とあります。
アリューシャン列島がこのように見えるというのは、私にとっても初めての気付きです。或いは、あまり馴染みのないこの投影図法による特殊な見え方なのだろうか? それ以降は気になって、地球儀を別の角度から見直してみたりしました。
確かに、違う角度からだとまるで違った印象になります。また、フランス・ロワール河口付近を中心にした陸半球図を見ても、アリューシャン列島は他の列島と連なっているように見えます。
もしかすると、アリューシャン列島や天皇海山~ハワイ諸島の並び方に対する我々の常識は、メルカトル図法を初めとする赤道中心の世界地図によって形成されたのかも知れません。
そしてもう一つ。島孤を交差する放射状走行線は、朝鮮半島、サハリンだけではありません。アリューシャン列島においても、天皇海山列はそこで終わりなのではなく、交差して更に北極方向へと続いています。こうしてアリューシャン列島まで含めて見方を変えてみると、島孤というのは小島の連なりなのであって、 日本列島のような大きな島の連なりは、むしろその方が例外なのだ、ということになります。
このような私の考え方に対し、また添付したブログの下書きの内容に対し、ご意見ご感想をお聞かせ頂けましたら幸いです。
篠塚安夫】

2018年6月15日 (金)

「西之島は大陸の卵」に疑義あり その11

  太平洋底の地形は更に複雑

 世界には、北が広く南が狭い逆三角形の地形が多い。北アメリカ、南アメリカ、グリーンランド、アフリカ、インド、オーストラリアの南の2つの半島、例外は同じオーストラリアの北の2つの半島だけである。私のこの指摘は松本清張氏の興味を引き、短篇小説「南半球の倒三角」として結実した。私からすると、逆三角形を南半球だけに限った理由、「倒三角」というあまり馴染みのない言葉にした理由はよく分からない。小説の舞台となっている肝心なインドが南半球にあるわけではないのだから、これは明らかな間違いである。しかし私の話を小説にして頂いただけで大感激である。仮説の内容に関わらない間違いならば、作者の受け取り方としてかえって面白いのではないかと思った。前回も見たように、逆三角形は南半球に限ったことではなく、海底にすらある全地球的な特徴である。

 ヒマラヤ山脈の東端、チベットから中国四川省、雲南省へかけての山脈走行線は、前回も書いたように鋭い折れ曲がり方をしている。ユーラシア大陸を作った溶岩塊が一旦着地した後、支脈として飛び跳ね、東南アジアからニュージーランドに至る半島や島々を作った、と私は考えている。しかし話はそれで終わりではない。ヒマラヤ山脈からニュージーランドに至る支脈は、もっと大きな構造物の一部である。以前(海洋底の縞模様 その11)にもちょっと触れたが、日本列島はヒマラヤ山脈と関連している。Photo

 ユーラシア大陸からの巨大な溶岩塊は各所でたわみ、海洋に張り出した弧状地形を数多く作り出した。ところがそれらの弧状地形に交差して、サハリン―北海道―伊豆・小笠原諸島―マリアナ諸島の走行線が放射状に延びている。他に朝鮮半島から九州―パラオへと続く走行線、台湾からフィリピンへと抜ける走行線もある。日本列島の成因を考える者は日本列島だけを単独に扱うのではなく、他の弧状地形にも通用するような説、更には 放射状の走行線をも含めるような整合的な説を考えてほしいと願う。

 フィジー島近くの海域で花崗岩が発見されたそうである。花崗岩となると安山岩以上に大陸性の岩石である。その海域はオーストラリアとニュージーランドの間にあり、そこには沈んだ大陸ジーランディアが存在していると考えられている。JAMSTECによる掘削計画もあるとニュース(2017年2月)にもあったが、私がそのニュースを知ったのはかなり後のことである。ジーランディアの成因について、ネットにはプレートテクトニクス説による説明がいくつか出ていた。しかし、ジーランディアがニュージーランドの成因に関わっていると考える者は、さすがにいないようである。

 ニュージーランド島がかなり大きな島であるのは、ジーランディア海域の高まりとトンガ島海域の腕の高まりが重合しているからだ、と私は考えている。そしてそのことは、ニューギニア島がオーストラリアから続く浅海と、それに交差するインドネシアからの高まりとの重合だ、というのに似ている。ニューギニア島には5000メートルを超える高山もあり、オーストラリアを含むオセアニア全域で、最大の地殻の厚さである。

 前回と2回にわたって、インド、ヒマラヤからニュージーランドに至る様々な地形を指摘してきた。一定方向への水平移動を基本原理とするプレートテクトニクス説から、それらの地形が説明出来るほど単純ではない。

2018年5月16日 (水)

「西之島は大陸の卵」に疑義あり その10

  フィジー島海域の肩甲骨と腕

 前回の田村芳彦氏への質問は、西之島の問題以上に特殊で分かりにくかったかも知れない。西之島が海洋島孤ということなので、では他の海域の海洋島孤はどうなっているのだろう?という疑問が生じた。もともと西之島から大陸性の岩石が出るのは、その辺りの地殻が薄いからだという。では、何故そこだけ薄くなったのか? 西之島は、伊豆大島からマリアナへ連続して続く島孤群の中間にある。そこだけ特殊であるべき特別な理由はない。

 それに対して前回の質問が扱っている海域は、海溝が背中合わせに並んでいて特殊、世界的に見ても他にはない。もしも大陸が本当に対流によって移動するのなら、世界中の沈み込み口は全てここのようであるはず、むしろ、日本海溝などの斜めの下降の方が異常なのだ。海溝と海溝とが背中合わせになっている間の地殻は薄いはずであり、そこでこそ大陸性の安山岩が出来ていなければならない。

 私がこの海域で着目するのは形である。西のヴァヌアツ島と東のフィジー島が作る海域は逆三角形、まるで肩甲骨のようである。それを東に行くと、サモア島南方沖が肩、トンガ島を含む海域が腕のような形をしている。一体何故このような不思議な形が生まれたのだろうか? Photo_2

 科学というのは、不思議さに着目して何故?と問うことではないだろうか? 大西洋両岸の形の相似に着目して大陸移動説が生まれたというのに、このような特異な形に着目しないのは奇妙ですらある。例えば、インド亜大陸はアフリカ近くにあったのが北上してアジアに衝突したと言われる。では何故インドは槍の穂先のように鋭く尖がっているのか? 自然の島ならばマダガスカル島のように丸みを帯びていそうなものなのに、それを不思議と思う者は誰もいない。

 また、ヒマラヤ山脈から東南アジア半島部へかけての、山脈走行線の折れ曲がりを説明するのは困難だと思う。仮にプレートテクトニクス流の一応の説明がそこでは可能だったとしても、フィジー島海域の説明は恐らく不可能だろう。私は今まで、肩の辺りで裏返ったのだと考えていた。ところが最近になって、そういう特殊な状況を考えなくてもいいと思いついた。それは、インド亜大陸の逆三角形とヒマラヤ山脈の走行線の折れ曲がり、それらに対応したフィジー島海域の肩甲骨とトンガ島海域の腕、それらの形には共通点があると思い至ったからである。全ての地形は、一旦着地した溶岩塊がその後どのように動いたかの違いだけで、うまく解釈できる。

 インド亜大陸とフィジー島は量が少なく、溢れるようにして南下したためにどちらも逆三角形になった。ところが東南アジアでは跳ねた塊が大きく、また空中を飛翔したために、出発点であるヒマラヤ山脈東端では南に向いているのに、インドネシアの列島域で大きく左に折れ曲がった。これには地球の自転が関わっている。ハワイ諸島の折れ曲がりの時に説明した原理(海洋底の縞模様 その22)と同じである。

 トンガ島海域の腕の部分では、溶岩塊が飛び跳ねることはなく、地表を滑り南下した。その南下した溶岩塊は基本的に、フィジー島海域の逆三角形と違いはない。もしも溶岩塊の量がもっと少なかった場合、その辺りは腕の形にはならず、その西側と同様、逆三角形になっていたはずである。それは、窓ガラスなどに溜まった水滴がある量を超えると、つうーっと直線状に垂れていくのに似ている。つまり南方向へ向かう溶岩塊の量次第では、肩甲骨のような逆三角形にもなり、腕のような直線状にもなるわけである。


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